800:詰問しよう。
「しかしあいつ、どうするつもりなんだろうな」
「解りませんけど、あんまり期待はしてないです」
「正直だな」
「だってあの人ですし……」
「まぁそうだな」
うん、カトリーヌさんだもん。
あの人を知ってる人なら大抵は同意してくれると思うよ。
「普通にしてりゃ本当に良い奴なのにな」
「普通な時の方が少ないから困るんですよ……」
「本当にな」
確かにすごく良い人だしやたらと有能な人ではあるんだけどね。
ダメな時はこっちの予想の遥か斜め上をかっ飛んでいくから、プラマイで言うとマイナスなんだよ。
ん、斜め下かな?
いやうん、そんな事はどうでも良いな。
「こんにちは、触手さん…… でも良いのでしょうか」
あ、よそ見してるうちにもっとお互いに近付いてた。
なんか触手がカトリーヌさんの前で九十度近く折れ曲がってるのは、頭を下げてる感じなんだろうか。
……なんか先端が小さく上下に動いてる。
あれは質問に同意してるってことなんだろうか?
「よしよし、良い子ですわね」
カトリーヌさんが手を前に出したら、そこに先端をそっと寄せてきて大人しく撫でられている。
なんなのあの状況。
「飼い主かよ」
「なんであの人、アレと意思の疎通が出来てるっぽいんですかね……?」
「知らん」
呟いた問いが一蹴された。
いや、当たり前だけどさ。
「さて、触手さん」
おや、なんか雰囲気が変わった。
触手もカトリーヌさんの正面でまっすぐ気を付けの姿勢…… なのか?
まぁそれっぽいしそういう事にしておこう。
「あなたのお仕事は、獲物を捕らえてご主人様のもとへ送り届ける事ですわね?」
そうなの?
あ、そうなのね。
触手が頷いてるって事はそうなんだろう。
「にもかかわらず、あなたが気に入らないという理由でそちらの志願者を拒むというのは、どういう事ですか?」
あ、強めに言われて触手がびくってした。
いや、考えを改めたりしなくても構わないよ?
別に私、送ってほしいわけじゃないし。
「あなた個人の感情は、ご主人様への忠誠よりも優先されるものなのですか?」
「いや、別に」
……良いんだけどって言おうと思ったら、チラッと見られたので黙っていよう。
変に口を挟んだら長引く気もするし。




