799:敗北しよう。
さて、どうしたものかな。
まぁ別に急いでるわけじゃないし、一旦放っといて他の事やってても良いんだけど。
帰る前にちゃんと処分すれば問題は無いだろうしね。
……いや、集中出来ないなこれ。
エリちゃんと黒い触手がやりあってるせいで、口の中がやたらと甘いもんなぁ。
「むぐおー」
「……弱っ!?」
とか考えてたら、なんかエリちゃんが敗北してるし。
手足を全部後ろでひとまとめに縛られて、のけ反った状態で地面に転がされてるのが見える。
いや、縛るっていうか巻き付いてるだけか。
固定してる事には変わりないし、どっちでも良いけど。
というかお兄さん、もうちょっと言い方を気にしてあげた方が……
いや、別に良いか。
今はダメな時のエリちゃんだし。
「弱くねーやーぃ」
「いや、負けるの早過ぎんだろ」
「しかし、仮にも熊族であるエリちゃんさんを力尽くで組み伏せて外させないのですから、あの触手さんは大したものですよ」
「……あー、それは確かに凄いな」
なんかカトリーヌさんがフォローしてるけど、そう言われてみれば確かに。
色々とアレな人だけど、クマさんだから腕力はかなり強い方なはずだよね。
流石にあの体勢になったらちょっと強いくらいじゃ無理だろうけど、その前から力負けしてたっぽいし。
……なんだろう、あの触手、なんか「凄いでしょー」って顔してる気がする。
顔とか無いけど。
「このままというわけにもいきませんし、何とかしてみましょう」
「ん、そう?」
なんかカトリーヌさんがエリちゃん達の方に飛んで行った。
……いや、待て。
つい普通に返事して見送ったけど、カトリーヌさんが何とかするってなんかすごい不安なんだけど。
「たっけてー」
「大丈夫ですわ、エリちゃんさん。むしろそのままの方が都合が良いはずですから」
「そっかー」
エリちゃん、捕らえられたら脱力し過ぎじゃない?
いや、抵抗しても無駄っぽいし疲れるだけなんだろうけどさ。
というかカトリーヌさん、都合が良いって何だ。
やっぱり私にとってあんまりよろしくない方向に解決する気だな?
「なんか先っぽが変態に向けて動いてるけど」
「なんですかね、狙ってるって動きでも無いですし」
なんか触手がカトリーヌさんの方を向いてへこへこしてる。
なんだあれ。
「……なんていうか、思いがけず役員とかに遭遇した平社員みたいに見えるな」
「例えがどうかと思いますけど、立場的にはそんな感じなんですかね……?」
ある意味では私の部下みたいな存在なんだろうし、私と同じ【妖精】のカトリーヌさんより立場が下って事なのかな。
本当になんなんだあれ。




