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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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1715/3924

1715:一緒に戻って来よう。

 そんなこんなで船着き場まで来たわけだけど……


「ふむ、見当たらんな」


「やっぱりかぁ…… ちょっと呼び出してみますね」


 うん、近くにでっかい影は見えないね。

 スナさんが危惧してた通りになっちゃったらしい。



 ん、コレットさんが遠くを見て……


 あぁ、こっちに気付いたのか帰って来てるんだな。

 私の【魔力感知】にも、近づいてくるでっかい何かが引っかかった。


 何かっていうかほぼ確実にとろさんだけど。


「いや、その必要は無さそうだ」


「え? ……あー、本当ですね」


 アリア様の言葉とほぼ同時に、目で見える範囲に入ってくる大きな人影……魚影?

 まぁ一応人影で良いか。

 人魚影だと言いづらいというか長いし。




 岸壁まで近づいてきた大きな影が、水面を盛り上げてざばーっと顔を出してきた。

 水面からこっちの地面まではそれなりの高さが有るはずだけど、この大きさなら登るのも難しくないだろうね。


「おかえりー」


「……大人しく待ってろって言ったでしょ、って事の前にさ」


「あー、ごめんねー?」


 うん、まずツッコむべき事が一つ有るな。


 誰なんだ、その左手で赤ちゃんみたいに抱っこされてるお姉さんは。

 多分お散歩に行った先に居た、素潜りで漁をしてた人なんだろうけどさ。

 なんか袋とか持ってるし。



「とりあえず、まずはその人を降ろそうか」


「はーい。着きましたよー」


「あ、ありがとうございましたっ!」


 大人しく抱っこされてたお姉さん、腕から降りて素早く頭を下げてる。


 あれは怖がってるとかじゃなくて、自分達にとって神様みたいな扱いの存在がいきなり出てきた挙句に、やたらフレンドリーに接してきてテンパってる感じなんだろうな。

 抱かれてる時も緊張はしてたけど嫌そうな感じは全く無かった様に見えたし。


 ……なんか既視感が有ると思ったら、いきなりアリア様に絡まれた一般プレイヤーがあんな感じだな。




 私達にも笑顔で挨拶してから、なぜか袋に入ってた貝をコレットさんに渡して立ち去る漁師さん。

 あぁ、良いのが獲れたからアリア様に献上してるのかな?


「人の仕事を邪魔しちゃ駄目だって、いつも言ってるでしょ?」


「うぅ、ごめんなさい……」


 軽めのお説教をされて、しょんぼりうなだれるねぎとろさん。


 ……いつも言われてるって、普段から何をやってるんだろうか。

 警備の人や店員さんとかに話しかけたりしてそうな雰囲気は有るけど。



「ちょっとごめんねー」


 ん?


「あ、こら……って、そうだったね」


 岸壁に乗り上げてたとろさんが、いきなり手を離して海にざぶんと潜ってから元の位置に戻って来た。

 スナさんは逃げるなって言おうとしたっぽいけど……


 あぁ、そうか。

 そういえば人魚って、地上だと殆ど呼吸出来ないみたいな制限が有ったんだっけ。


 息継ぎに戻らないと苦しくなっちゃうんだったら、話の途中で離れるのも仕方ない事だもんね。



 というか今更だし当然かもしれないけど、地上では呼吸ができない【人魚】にも、一応肺は有るんだな。


 いや、まぁ【樹人】や溶かされたり固められたりした人が普通に発声出来てる時点で、当然って言って良いのかは怪しい気もするけどね。

 どう考えても声帯がどうとかいう原理を無視してる例がいくつも有るからなぁ。



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