1639:甘味を絞り出されよう。
「さて」
ん、満足したのか背中から降りたな。
片方の翅を掴んだままなのは、命綱みたいなものかな。
横のスペース、そんなに広くはないし。
「レティ、こちらへ」
「はい」
……向かい側にレティさんを呼んでどうするつもりだ?
とりあえず私にとって碌な事じゃないってのは察せるけど。
ん、二人とも私の横に座った?
「ここをこう持ってだな」
「はい」
……それぞれの目の前に有る翅の付け根を、両手でむにゅっと掴まれた。
うん、何をするつもりかは大体
「こうだ」
「ふぉぉ……ぉおぉぅ」
想像が付いたとか思ってたらその通りの事をされたね、うん。
翅の根元に詰まってた鱗粉の塊を、むにゅーっと絞り出されたよ。
レティさんが遅れて実践したのが、なんか追い打ちみたいになってたし。
「うむ、美味い」
「上品な甘さですね」
私はお菓子製造機じゃないぞと言いたいけど、実際に色々出してる以上これも言えたもんじゃないな。
なんなら本体でさえ美味しいみたいだし。そっちは有毒だけど。
「はい、どうぞ」
ん?
……あー、クリスが代表して分けてもらいに来たのか。
近くに居ないと思ったら、みんなで糸集めとかのお仕事をしてたんだな。
というかそんな申し訳なさそうに手を出さなくても、もっと堂々としてて良いと思うよ。
いや、クリスの性格的に無理な相談だろうなとも思うけど。




