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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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1623/3909

1623:調理器具になろう。

「さてさて、それは良いとして」


 ん?


「お楽しみの時間だよー」


「……何が?」


 唐突に何だっていうんだ、お姉ちゃん。

 特にそういう予定は聞いてないぞ。



「……あぁ」


「ん?」


「スキルの確認だろ。今日は何やらかしたんだ?」


「いや、やらかしてる前提で訊かれても困るんだけど……」


 というかその質問はスキルの話じゃなくない?

 まぁ「変なのを覚えた」事を「やらかした」って言うなら合ってるか。


「まともな時の方が少なくないか?」


「……まぁ、うん、それは否定出来ない」


 平和に何も無い一日を過ごせた覚えも無いしね。

 というか実際、過去一番に碌でもない魔法を習得しちゃってるし。




 まぁいくつか増えたのは確かだし、まともなやつから披露するとしようか。


「とりあえず【吐息】で増えたのが、【燻蒸吐息】と【燻煙吐息】と【燻香吐息】かな」


「エリちゃんに吹いてたのが燻蒸かな?」


「そうだね。蒸気と煙と、あと香りだね」


「最後のは併用出来るのか?」


「ん? あぁ、試してないけど多分出来るんじゃないかな」


 というか香りに限らず、【妖精】がやろうと思えばどれも好き勝手出来そうだし。

 まぁおかしな事になる可能性が高いから、迂闊に試そうとしない方が良いと思うけど。



「雪ちゃん、見せて見せてー」


「あ、うん。……何を出してるんですか、何を」


「肉だが」


「いや…… うん、まぁ良いですけど……」


 小さく切った牛肉を細い鉄串で刺した物ってのは、見れば判る事なんですよアリア様。

 私が言いたいのはそういう事じゃないんですよ。



「それじゃ、手は動かさないでくださいね?」


「うむ」


 うっかりしてアリア様の手に蒸気がかかるとマズいので、串を持った手の側から蒸気をぶおーっと。

 【妖精】の魔力で普通に吹いたら大変な事になりそうだから、ある程度弱めから初めて様子を見つつ上げていこう。


「おー、凄い凄い。良い感じに温まってるね」


「そのサイズならもう良いんじゃないか?」


 あ、そうか。

 私から見れば結構大きな塊だけど、普通の人から見れば一センチくらいの切れ端だもんね。

 それなりの高温で吹いてるし、中まで火が通るのにそんな時間はかからないか。



「最後に少し、表面に焼き目を頼もうか」


「あ、はい。……ちょっと離れて吹きますから、調整はそっちでお願いできますか?」


「うむ」


 追加で火を吹くのは構わないんだけど、上手にやらないと焼き過ぎになりそうだからね。

 バーナー役になってアリア様に自分で当ててもらった方が、お肉を無駄にする危険は少ないだろう。


 ……これ、最初から火で焼けば済む話だよね。

 いや、蒸気を出して見せる事が本来の目的なんだから、お肉はあくまでおまけなんだけど。



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