1606:ぺりぺり剥がそう。
「良し、それでは足をついてもらって良いかな」
「あ、はい」
逆らっても仕方ないというか逆らったら更に揉まれそうなので、大人しく芝生代わりの布の上に足を……
降ろしたすぐ横に出現するのは心臓に悪いから止めてほしいんですよ、コレットさん。
言っても無駄だろうし事故で踏まれる様な人じゃないからわざわざ言わないけどさ。
「ふむ、綺麗なものだ。少し触れさせてもらうぞ」
珍しく断ってから触ったのは、私じゃなくてアヤメさんに言ったんだろうな。
私から見たら膝くらいまでしかないアリア様も、今のアヤメさんからすればとんでもないサイズだろうし。
ラキサイズになってるコレットさんも一緒になって触ってきてるから、迂闊には動けないな。
いや、まぁこの人なら私が何やっても大丈夫そうではあるし、そもそも動く気も無いけどさ。
一通りぺたぺた触って満足したのか、「うむ」と頷くアリア様。
「覆いを外してもらっても良いかな?」
「はーい」
塗ったのはカトリーヌさんだけど、【吸精】で消せば良いだけだから呼ばなくても問題無いだろう。
というか例によってすぐ近くに居るのに反応してないって事は、私が言われたんだからって意思表示っぽいしね。
押し付けるんじゃなくて出しゃばらないって意味で。
「コレット、降ろしてやるがよい」
アリア様の指示に短く返事をして、そーっとアヤメさんを爪から剥がしていくコレットさん。
魔力で覆われてたから飛んで行ったり酷く変形したりはしてないけども、流石に中身の方はぐしゃぐしゃだったろうからなぁ。
「なに、中々体験できる事では無いぞ」
コレットさんの手に乗せられたアヤメさんに、アリア様が何やら声をかけてる。
聞こえないけど酷い目に遭った的な事をぼやいたんだろうな。
「さてカトリーヌ」
「はい」
アリア様に呼ばれたカトリーヌさんが、何も言われてないけどそっと布の上に手を下ろしていく。
いつもの事だけど察しが良すぎる。
まぁ召喚獣と会話してるのに比べれば、まだ理解出来る範疇か。
指先に乗せられたアヤメさんに魔力を流して、少しずつ大きくしていくカトリーヌさん。
……【神隠し】を解除するだけで良いんじゃないかなって思ったけど、そういう指示じゃなかったんだろうな。
「……まぁ予想はしてたよ」
「はっはっは」
アリア様と同じ膝下サイズで止められて、肩をぽんぽんされながら諦めのため息を漏らすアヤメさん。
「あぁ、足下には気を付けるのだぞ?」
「踏もうと思っても踏める人じゃないでしょう」
アリア様の忠告に、気にはしますけどもって感じで返事をするアヤメさん。
うん、サイズだけ見れば片足で全身を覆えそうなくらいの差なんだけどね。
この人の場合は、もし踏めたとしてもダメージを受けるのは踏んだ側な気がするんだよね。




