1602:さっくり始末しよう。
幸い特に何かが起きる事も無く、無事に庭園まで辿り着けた。
……なんかこれはこれで、逆にちょっと警戒してしまうな。
「お帰りなさいませ」
「戻りましたー。……えーと、今日もやるんですか?」
「どうやらその様です」
やるんですかって聞いたけど、別にモニカさんが率先してやってる訳じゃないんだよね。
犬のお兄さんが乗り込んでくるから排除してるだけだから、お兄さんが来なければ平和に済む話なんだよ。
まぁそこまで時間を取られる訳でもないし、こっちに実害は無いから好きにしてくれて良いけどさ。
というかそもそも、普通に入ってこられたとしてもそこまで困る訳じゃないし。
別に男子禁制とかそういう場所じゃないからね。
普段からジョージさんも……いやあの人達はもう別の枠か。
遠巻きに囲む人たちで出来たリングの中で、準備運動をする犬のお兄さん。
壊れると困るからか、上着は脱いで動きやすい恰好になってるな。
「さて、せっかく用意していただいて申し訳ありませんが」
「ん?」
「まずはこれをどうぞ」
「……かぶれって?」
「はい」
……なんか顔より少し大きい位の麻袋を渡されてる。
強すぎるから仕方ないんだけど、やっぱり勝負にすら持ち込ませてもらえないんだよなぁ。
「で、申し訳ないっていうのは?」
大人しく袋を被って、もごもごと尋ねるお兄さん。
……袋を被せられるのは謝罪をする必要の無い事に分類されるんだな。
「既に日も暮れておりますし、手早く済まさせていただきます」
「マジかー」
スッと喉に刺す形で添えられたモニカさんの貫手に対して、両手で腕を掴んで一応の抵抗をしつつ諦めの声を漏らすお兄さん。
まぁうん、その位で止められる攻撃じゃないのはよく解ってるもんね。
……あ、フッて気合と同時に手首の辺りまで深々と突き刺さった。
モニカさんの方が大分背が低いのもあって、首を貫くんじゃなくて喉元から脳天に向かって突っ込んでるっぽい。
「文字通りの地獄突きだな……」
「あー、あれ多分中で握り潰されたな。ビクンってしたし」
「そういうもんなの?」
「いや、知らんけど」
……ギャラリーの人たち、あーあって感じで冷静にコメントしてるけど、普通にこれ必要以上にエグい事やってるよね。
何故か血が漏れて来てないから、外見だけならそこまででもないけどさ。




