1594:素直に受け入れよう。
「手伝おうか?」
「いや、これくらいなら…… やっぱ頼むわ」
あー、普通の仰向けだったら手でどうにでもなるだろうけど、今は下半身が下に有って床が遠いから難しいんだな。
腰回りの筋肉は変形してて使えないし。
「下手に突っつかれたら余計に潰れかねないし、ちょっと指をこっちに出してくれ」
「あ、うん」
ほれ来いと手招きされたので、ギリギリ触れない程度にアヤメさんの目の前に人差し指を。
「そんじゃ、ゆっくり引いてくれ」
「はーい」
私の指に掴まったアヤメさんが上体を起こせる様に、そーっと手前に動かしていく。
しかしアヤメさんから見れば指一本でも相当な太さだろうけど、よくしっかり掴まっていられるな。
まぁあれだけ小さければ指紋とかの小さいでこぼこでも、それなりに手助けになるのかな?
指から手を離してうつ伏せになったアヤメさんに、軽く【妖精吐息】を吹きかけて治療する。
しかしこうまで小さいと、吹き飛ばさない様にするのも難しいな……
「ふぅ、やれやれ」
立ち上がってグッグッと腰を捻るアヤメさん。
大丈夫なのは解ってるけど、戻ってすぐだとぐにゃってなりそうで怖いな。
「ってかさ」
「ん?」
「よく考えたら、ラキに手伝ってもらえば良かったんだな」
「……だね」
すぐそこに同じくらい小っちゃい子が居るんだから、そっちにお願いすれば注意深くそろそろ動かなくて済んだんだな。
同じくらいって言っても四倍はあるけど。
あ、当のちっこいのがこっち来た。
「うおっと」
……アヤメさん、唐突に抱っこされるのにも慣れたもんだなぁ。
「あー、はいはい」
「ん?」
「今日も罰ゲーム……っつーかペナルティだとさ」
「……あぁ」
そういえばそんなのも有ったな。
いや、今日もそういうルールだとは知らなかったけど。
「にしてもアヤメさん、素直に受け入れるんだね」
「まぁ仕方ない……というか、仕方ないって言うしかないというか」
「うん?」
「いや、やってみると解るんだけどさ。ラキ、手加減がめっちゃ上手いんだよな」
「あ、そうなんだ」
「こっちがデカいミスさえしなかったら互角に戦える程度にしてくれてるんだけど、それでも延々と負け続けてるから文句は言いづらいんだよな」
「あー……」
サイズとかの違いが有るとはいえ、一応対等なレベルでの試合にしてくれてるのか。
よくそんな調整が出来るもんだな。
「実際、トレーナーとしてはかなり良い相手なんじゃないかと思うぞ。負けの原因もどうすれば良かったのかも教えてくれるしな。ジェスチャーでだけど」
ほー、ラキちゃんそういう面でも凄い子だったか。
……むしろ飼い主と協力しての、そういうサポートが本職って可能性も有るのか?
「ただお仕置きだーって遊ばれるのは勘弁してほしいけどな……」
……うん、ごめんなさい。
というかそれが「罰ゲーム」で良いのではって思うんだけど。




