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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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1581/3902

1581:回収トラブルに見舞われよう。

 大方の予想を逆転する事も無く、それなりの差を付けてマツリさんの操る飛行機がゴールラインを通過して行く。

 少し遅れてロシェさんが飛び込んで……


 おおう、勢いそのままに急カーブしてこっち来た。


「タイムは!?」


「いや計ってねぇよ」


「なんでさー! いや、当たり前か」


「冷静になるのが早過ぎて、こっちはどう反応すりゃ良いんだよ……」


 ……なんかテツさんを困らせてる。

 自分で即座に納得してるけど、そういうのは出走前に言っておくべきだよね。


 というかストップウォッチ的な物は有るんだろうか。

 システムメニューに時計は有るし、もしかしたらその辺りに付属してるかもしれないな。



「負けちゃったよーぅ」


「お疲れ様です」


「そこ代わってー」


「あ、はい」


 私に言ったらはいはいって流されるだろう事は察しているらしく、シェラに慰めてもらおうとしてるな。

 でもそれ、迂闊にやったら……


「んむーっ」


 あ、やっぱり。

 可愛い可愛いって正面から抱き締められて、良い子だねー頑張ったねーって後頭部を撫で回されてる。


 あの声の出し方からして息は出来てないだろうけど……

 うん、ぺちぺちとギブアップの意思表示をする事で解放してもらえたな。



「ふー、癒し殺されるかと思った」


「まぁ流石に限度は知って……ますから」


「微妙な間が空いたね」


 いやうん、知ってるとは思うし死ぬ事が無いのは確かなんだよ。

 何と言うか、変な方向に振り切って行く事は有るけど。




「ん?」


 なんか周りがざわついて……


「……何やってんのあの人」


「えーっと…… まぁ…… 落としそうにはないですね……」


 ギャラリーの視線を追って上を見てみると、抱き着く形で飛行機を確保したカトリーヌさんの姿……というか、カトリーヌさんの胴体から大きく前にせり出したクッションの隙間に、すっぽりと機首が埋まってしまっている飛行機の姿が。


 ……ぐぬぅ。



 いや、まぁうん、機体に抱き着いてるカトリーヌさんの顔を見た感じだと、わざとああして確保しようとした訳ではなさそうだな。

 ちょっと困ったけどまぁ丁度良いからこのまま下ろしちゃおうって表情に見えるし。


 場合によっては色々と問題が有りそうな絵面になってるけど、事故なら仕方ない……と思う。


「ん、ってかあれ大丈夫かな……?」


「あー…… まぁ…… うん、暑そうだね」


「いや、そこじゃなくてですね」


「ん?」


 どう言ったものかと困り気味なロシェさんの言葉だけど、一応否定しておく。

 確かにあの状況だとそれは有りそうな気はするけど、短時間だしそもそも縮んでる状態だと熱湯だろうと問題は無いし。



「あの人、あれ(・・)でも水着(ふく)で押さえつけられてるんですよ……」


「マジで……? って、それじゃあの隙間って」


「まさか潰れはしないと思いますけど……」


 お風呂でのあの姿を見る限り、あの中ってそれなりの圧力がかかってる筈なんだよね……

 圧縮されてる割には自然な感じに見えるけど、まぁそこはゲームだから……というか【妖精】の謎の力が働いてるんだろう。


 ただいくら小さいとはいえ人間が作った物……って言いたいけど皆さん良い腕してるからなぁ……

 あんまり強くぶつかったら壊れかねないからってのもあって、レース中は接触禁止だった訳だし。



 でもまぁ、もし潰れそうなんだったらカトリーヌさんの表情(かお)も違ってるだろうし、その心配は無さそう……なのかな。

 事故が起きたらマツリさんも作った人達も、あとついでに救助活動をさせられそうな私も困るから、無事に戻ってきてほしいところだよ。



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