1574:出走準備をしていこう。
「それでは、私の出番ですわね」
「もうちょっと普通に出てこない?」
どのタイミングから待機してたのか、木箱の陰……というか正面の崖からカトリーヌさんがぬっと出てきた。
ちょっと前まで私の後ろに居たんだから、そのままで良かったでしょうに。
「いえ、持ち上げる動作がマツリさんの負担になるかと思いまして」
「……あぁ、そっか」
十倍サイズの相手に振り回されるのって、かなりの負荷がかかるもんね。
実際、初日にお姉ちゃんにやらかされて何回か死んでるし。
今のマツリさんは死なないけど、潰れたままだと動けないからなぁ。
回復しようにも、密閉されてるから【妖精吐息】は届かないだろうし。
さて、カトリーヌさんが自分で引っ張っていくことも出来るだろうけど、横に居るんだから手伝うとするか。
「それじゃ、こっちから押していくね」
「はい、お願い致しますわ」
……とは言ったものの、これ押していくより前の方を持って引っ張る方が良さそうだな。
操縦席の真下がゴリゴリ擦れると、中はたまったもんじゃなさそうだし。
ふわりと宙に浮いて、真上から操縦席の後ろ辺りを両手でわしっと掴む。
丁度親指と中指がくっつくくらいの太さだな。
普通なら歩きづらくて後ろ向きに引っ張る所だけど、飛べるとその辺を気にしなくて済むから楽で良いなぁ。
「あー、なるべくゆっくり頼むよ?」
「あ、はい。その辺は大丈夫……だと思います」
「断言してくれよ……」
いやうん、注意はするけどさ。
私、シルクやカトリーヌさんほど器用じゃないからね。




