1571:少しくらいはお手伝いしよう。
「それじゃ準備……の前に」
「ん?」
「接触は無しで頼むよ」
「あぁうん、そっちが一方的に不利だもんね」
「いや、そういう問題じゃないだろ。競輪じゃないんだからさ」
まぁ確かに、並走してる状況でちょっとぶつかったくらいなら、【妖精】側はおっとっとってくらいな感じだろうね。
噴射してる火に触っちゃったとしても、魔法攻撃だからノーダメージだし。
逆に飛行機の側は、進路やバランスが乱れてえらい事になりそうだからなぁ。
しかもその急拵えの機体だと、ぶつかっただけでどこかが故障……どころかぶつかり方次第では最悪バラバラになりかねないし。
……というか競輪ってぶつかり合うんだ。
かなり凄いスピードで走ってる上に生身でやってるのに、凄い度胸だなぁ。
「このくらいで良いかな?」
ん?
「あぁ、そんなもんだろ」
アヴィさんが積み上げた木箱をぽんぽんしてるのは、縮んだり乗り込んだりするための台にって事か。
一番上に平らな板が置かれて、その上にカトリーヌさんが飛行機を運んで行った。
いや、なんでずっと担いでたんだ、あの人は。
降ろしてたら普通にテツさんが置いただろうに。
さて、それじゃ私の出番かな。
またカトリーヌさんに任せても良いんだけど、あっちは離着陸の補助をするんだから私も少しは手伝わないとね。
「それじゃ、ここに顔を乗せてくれますか?」
「はいよ」
台の上からマツリさんを呼んで、動きが止まったのを確認してから額にそっと手を添える。
「私が出来れば良いんだけどねぇ」
「そこは仕方ないですね。まぁやってればすぐに覚えられますから、それまでは気にせずに任せてくれれば良いですよ」
ロシェさんはまだ【妖精】になったばかりなんだから、使える魔法が少ないのは当然の事だしね。
出来ない事は出来る人がやれば良いのだ。
……まぁやりたくなくなる様な言い方をする人相手だったら、話は別かもしれないけどね?




