1569:離着陸の話をしよう。
「そちらは私が協力させていただきますわ」
「ん? どうするの?」
私の足下からにゅっと出てくるカトリーヌさん。
浮いてるんだから下から来る事自体はもう良いんだけど、もうちょっと離れてほしい所だよ。
「推進装置をオフにして機首を上げる事で減速は可能でしょうから、ある程度緩やかになった所に速度を同期させて捕まえてしまえばよろしいかと」
あぁ、なるほどね。
自分で降りられないなら降ろしてあげれば良いだけか。
普通サイズの人間でも出来なくはないけど、流石にサイズに差が有り過ぎて怖そうだしね。
いや、十倍はデカい【妖精】に捕まるのも、慣れないと十分怖いだろうけど。
「それじゃ、頼めるか?」
「お任せください」
でもわざわざ減速させてカトリーヌさんが出なくても、競争してるロシェさんがその流れで手伝えば良いんじゃないかな。
なんか話が付いてるから、わざわざ口は挟まないけど。
「だってさ」
「はぁ…… で、操作は?」
「はい、これ」
「仕方ないか……」って顔で諦めて話を進めるロシェさんに、アヴィさん……だったかな? が紙を手渡す。
解りやすい様にまとめておいたのかな?
「……これ、出力の調整は?」
「無いわよ?」
「マジかー……」
……推進装置、オンとオフの二択しか無いのか……
ドラッグレースか何かかな?
「待った、これ発進……というか離陸はどうするんだ? ……おいこら、こっち見ろこっちを」
あー……
そういえば車輪が無いから、地上から加速してって手順が使えないのか。
無理矢理ゴリゴリ擦っていったら、まっすぐ進めなくてとんでもない挙動になりそうだし。
確かに時間は無かったけど、もうちょっと飛んでる最中以外の事も配慮した方が良いと思うんだ。
「では、始動も私がお手伝いいたしますわ」
「あぁ、頼むわ……」
あぁ、空中で支えた状態からエンジンを起動して、飛行が安定するまでついていくって作戦か。
……最初から全開だから、急発進で事故が起きなきゃ良いけど。
ん、そういえば。
「私も手伝おうか?」
あれっていくら最低限の骨組みとはいえ、それなりに重量は有るんじゃないかな?
いや、着陸補助の時に気付けって話なんだけどさ。
「いえ、これくらいでしたら問題は有りませんので」
おお、凄いな。
全長が自分と同じか少し大きい位の飛行機を、両手で上に掲げてる。
流石にひょいって感じではなかったけど、そこまで大変そうでもないな。
いくらステータスの補助が有ると言っても、【妖精】じゃ大したSTRは無いだろうに。
……でもカトリーヌさんだし、STRとかVITとかが上がる変なスキルを持ってても不思議じゃないからなぁ。
まぁうん、その辺は気にしないでおこう。
無駄に藪をつっついても、痛い目を見るだけだからね。うん。




