1565:お迎えにいこう。
このまま吸っちゃっても良いんだけど、せっかくだからちょっとだけ動かす訓練もしてみよう。
「えーと…… こうかな?」
「お、動いた」
ゆっくりと魔力を操作して、両脚を畳んでからそれを抱く様に両腕で囲んで、空中で蹲る姿勢にしてみた。
腕と脚みたいに別の部位を同時に動かすのは難しいけど、左右セットなら意識しやすいからまだマシだな。
やっぱり動かしたところは結構形が歪んじゃってるけど、後は回収するだけだから問題は無いだろう。
形を維持するのを止めて、丸まった姿勢からただのボールに戻して、と。
「丸めたら大分縮むもんだねぇ」
「隙間とかが無くなりますしね」
人の形のままだといくら縮こまっても限度が有るし、全体のシルエットも円形からは程遠いからね。
逆にボールから他の形にすると、その隙間が出来る分思った以上に大きくなっちゃったりするし。
というかしたし。
小さくなった様に見えるとはいえそれでも無駄にでっかい魔力球を、【吸精】で一気に吸い込んで回収。
あんまり戻っては来ないけど、ゼロよりはマシだからね。
「あ、そうだ」
「ん?」
「いや、シェラの方はどうなったかなと」
「あぁ、なんかやってたね」
えーっと…… あれ、台の上に居ないぞ?
……なんか作る側に参加しちゃってるな。
最初にお願いしたお姉さんのお手伝いをしてるっぽい。
「あ、保護者が帰って来たよ」
「託児所じゃないんだから……」
うん、訓練してるからうちの子預かっててくださいねーみたいな流れではなかったよね。
役場ではそんな感じ……でもないか。
あそこの場合、むしろ職員さんの方がその子は置いていってくれないかって顔するし。
おっと。
あー、うん、楽しかった?
それは良いんだけど、そんな「おかーさーん」みたいなノリで突進されても、私には受け止めきれないぞ?
というか土遊び……いや遊びじゃないか。まぁ良いや。
土遊びしてて手に土が付いてるから、そのまま抱き着かれるのはちょっと困る。
私が困るというか、後でシェラがシルクに叱られそうだからさ。




