1537:参加を遠慮しておこう。
「はぁ…… ま、こうなったら仕方ないけどさ」
あ、抵抗を諦めた。
溶かす側が言うのもなんだけど、諦めが早くない?
「良いんですか?」
「まぁ本当に死ぬ訳じゃないし、ゲームで死んだ事なら何回も有るしね」
まぁそれはそうだろうけどさ。
それとこれとは、なんか違うんじゃないかと思うよ。
いや、死ぬって事自体は同じなんだけど。
「それに痛くない……っつーかむしろ気持ち良いんだろ?」
「あー、まぁそうみたいですね」
「それは経験者がバッチリ保証するよー」
うん、そこは普通に殺されるよりはマシな点かな?
そういう問題じゃない気もするけど。
「痛かったら蹴り飛ばして良いか?」
「……嘘じゃないならね?」
あ、流石に意味も無く蹴られるのは嫌なんだな。
まぁカトリーヌさんじゃあるまいし、それが当たり前か。
「それじゃ、邪魔になるから出来るだけ装備は外しとこうね」
「はいよ。……頼むわ」
マツリさんが武器を地面に置こうとしたら、静かに寄って来てた羊のお姉さんに回収されてる。
なんでやたらと協力的なんだ、マツリさんの仲間たちは。
まぁそういう人たちだからこそ、ここに遊びに来てくれてるんだろうけどさ。
「ところで、ロシェさんはどうされますか?」
「んー……」
ん?
あぁ、うん、そういう生き物だしって割り切ってないと、普通は人間を食べるのには抵抗が有るよね。
私はもう完全に諦めちゃってるけど。
「私としましては、大変美味ですので参加をお勧めしますが」
「でもなぁ…… うん、やめとこう」
うん、食べる奴が言うのもなんだけど、やらなくて済むんだったらその方が良いと思う。
だってどう考えてもヤバい生き物の仲間入りだし。
いや、種族としては同じというか、本来の【妖精】から見ればそっちの方が変なんだろうけど。
偏食みたいに言うのもどうかと思うけど、多分それに近い感じだろうしね。
「一応忠告しておきますが、もし試される事が有るならば、お一人の時は止めておいた方がよろしいかと思いますわ」
「試さないと思うけど、なんで?」
「あまりの美味しさと、恐らくは【妖精】の本能の為なのでしょうが、一時的に近くの方々が食事にしか見えなくなりますので」
「あー……」
「いや、私は自力で立ち直りましたからね?」
「そういやそんな顔してたとか書いてあったな」みたいな目で見ないでくれないかな。
ちゃんと抑えるのに成功したんだからさ。
「一度経験すれば慣れる事が出来ますし、白雪さんと一緒であればぴーちゃん様に正気に戻していただけますので」
「どうやって?」
「大丈夫そうか観察してもらって、駄目そうだったら横からドロップキックですね」
「それは遠慮したいなぁ……」
うん、多分結構痛いしね。
怪我しない程度に抑えてくれるとはいえ、思いっきり吹っ飛ばされるわけだし。




