1536:何の話か聞かされよう。
「正直聞かずにこのまま帰りたいんだけどねぇ」
「んっふっふ。妖精さんからは逃げられないのだ」
「いや、私は別に……というか私も聞きたくはない」
「またまたー」
いや本音だよ。
あと人をイベントボスとか魔王とかみたいに言うのはやめなさい。
私はただの一般人だよ。
「ほら、さっき市場でやめとこって言った話が有るじゃない?」
「いや私に言われても知らんけど」
うん、居なかったしね。
というかやっぱりそれなんだね。
「私はね、思ったわけなんだよ」
「……諦めようか」
「ですね」
「こいつ人の話聞く気ねーわ」って顔のマツリさんに、頷きを返しておく。
「ドリンクバーと言えばミックスだよね、ってね」
「いや、話が飛び過ぎてない?」
どういう事だ。
あとミックスは子供とか仲間内での悪ノリだと思うよ。
いや、ちゃんと美味しい組み合わせも有るだろうけどさ。
「ドリンク」
「あぁ……」
そんな力強く親指で自分を示されても、反応に困るんだよ。
確かに【妖精】用のお店の話をしてたけどさ。
「待て、それは私も一緒に食われろって話か?」
「あ、今デスペナ抱えてないよね?」
「抱えちゃいないけど、人の話を聞けって言ってるんだ」
「痛い痛い痛い」
おー、クマ耳をわしっと掴んで上に引っ張ってる。
ぺしぺしと軽くマツリさんの腕を叩いてるあたり、これも本当に痛いんだろうな。
「私までウサちゃんにするつもりかー」
「なるか。……いやそういう問題じゃないだろ!?」
遠くから「ちょっと経験値減るくらいなら俺らは気にしないからなー」ってパーティーメンバーの声が。
確かにログアウト前で一時的なステータス減少は無視できるから、問題が有るとすればそっちだろうけどさ。
うーん、マツリさんも大変だなぁ。
……しかしなんというか、兎の人ばっかり苦労してる気がするな。
アヤメさんといいマツリさんといい、エリちゃんの仲間の兎さんといい。
まぁ兎にも変な人は居るから、単に知ってる範囲ではってだけだろうけど。
市場に生息してる巫女兎さんとか。
いや、あの人も普通に助けてはくれてるんだけどね。
でもやっぱり、ちょっと変な人ではあるよね。
「っつーかミックスって言うけどさ」
「んー?」
「フルーツ同士ならともかく、アンタ芋でしょ」
「ぬぐぅ」
あ、痛い所を突かれたって顔してる。
まぁお芋でも混ぜたら案外いけるかもしれないけど。
あんまり詳しくないけど、そういうお菓子も多分有るんだろうしね。




