1535:忘れてないと言い張ろう。
「あぁ、一応言っとくけど初対面でアホとか言ってる訳じゃないからね」
「また何かやったんですか?」
「またとは何さ、またとは」
「いや、言われても仕方ないくらいやらかしてますよね」
あ、目を逸らした。
「実際間違ってないしな。前に立て替えてやった分、そのまま忘れてるだろ」
「あ」
「完全にロシェさんが悪いやつじゃないですか……」
アリア様からの借りが全然返せない私が言うのもなんだけど、借りた物はちゃんと返さないとダメだよ。
いや、それとこれとはちょっと違う話だけどさ。
私の場合、向こうに貸したつもりがまったく無いのを返そうとしてるだけだし。
「いやそのうん、忘れてた訳じゃないよ?」
「今『あ』っつったろ」
「気のせいじゃないかな?」
いや、絶対に忘れてたよね。
口笛吹いてもダメだぞ。
というかあんまり鳴ってないぞ。
「まぁ大した額じゃないから良いんだけどな。【妖精】に貸しが有るってのも悪く無いし」
うん、それは確かに。
自分で言うのもなんだけど、敵に回さなきゃ色々と便利な生き物だしね。
お金を受け取るよりも、何か別の事で返してもらった方が得だろう。
「そんでさーぅぐっ」
あ、エリちゃんがマツリさんの脇腹辺りからにゅるっと出てきて、頭に肘を落とされてる。
なんで追い払われるのが判っててくっつきに行くんだ。
「ん? あぁ、なんで連れてきたのかって話か」
「そうそう」
……何事も無かったかの様に話が進んでる辺り、いつも通りのやり取りなんだな。




