1519:困惑を口にしよう。
あ、そうこうしてる間にお姉ちゃん達も食べ終わったらしいな。
アヤメさんがお皿の返却に来た。
「ごちそうさん。なんかうちの奴らが悪いね」
「えーよえーよ。悪い事にはなっとらんし」
「ら」とはなんだ、アヤメさん。
私は何もしてないぞ。……今回はだけど。
さて、それじゃ私達も動くとするか。
いつも通り、店側から死角になる位置に銅貨を置いて、と。
「……良いけどさ」
スッとアヤメさんの頭にくっついて、ウサ耳ハンドルを握るシルク。
移動時の定位置みたいになってるなぁ。
アヤメさん、耳を触られて微妙に震えてたけど、流石に結構慣れたっぽいな。
お仕置きとかでくすぐられたら別だろうけど。
「また来てやー」
手を振るお姉さんにぺこりとお辞儀して、みんなと一緒に屋台から離れる。
次の目的地は訓練場だから、南の方だな。
「いやー、うん…… うん」
「なんなの」
お姉ちゃん、めっちゃ歯切れの悪い呟きは気になるからやめよう。
「なんなんだろね、あの組み合わせ……」
「……あー、うん、なんだろね……」
タコモドキ入りワッフルの感想か。
そりゃ言葉に困るだろうな。
「なんていうかうん、不味くはないから余計に何とも言えなくて……」
「あ、アウトではなかったんだ」
美味しくも不味くもない物ってちょっとコメントに困るよね。
私の料理とかね。
「まぁそれは置いといて」
「あ、うん」
サックリ切り替えてきたな。
まぁ「よく解らない」って結論は出てるか。
「アヤメちゃん、今日は勝てそう?」
「ん? 何がだ?」
「ラキちゃん」
「……別にやるとか言ってないんだけど」
なんで今日もスパーリングをやる予定になってるんだ。
でもまぁ確かに、なんだかんだでやる羽目になりそうな気はするけどさ。
シルクの頭の上で、やる気満々のラキがシュッシュってジャブを放ってるし。




