1516:要らない事を言わないでおこう。
「まーご飯の時間だしご飯食べる所だし、あんまり言わないでおくけどさー」
「初めから言わなくて良いって言ってるんだ」
アヤメさんのツッコミは置いておくとして、エリちゃんの言う通りではあるだろうな。
なんせ人間がドロドロになる話だし、食事中に思い出したい映像ではないだろう。
「こう、なんていうかね」
「なんだよ」
あ、なんだかんだ言うけどちゃんと聞いてあげるんだ。
「色々考えてみたけど、どうしても夜のお店的ないかがわしい感じになっちゃいそうなんだよね」
「……あー」
……まぁうん、言ってる事はなんとなく解らなくもないな。
当然行った事なんて無いけど、漫画とかゲームとかで見た事は有る。
ただ実際はいかがわしいとかいう段階を遥かに超えてエグいんだけどね。
いや、そもそもアウトの方向性が違うけど。
「で、今の流れで思いついて気になったんだけど、同じくここで言う事じゃないから後にするねー」
「忘れとけ」
うん、忘れてくれて良いと思うよ。
どうせ私にとっても碌な事じゃないだろうし。
話を聞いてる最中ももふもふと口にカステラを詰め込まれてたけど、流石にそろそろお腹いっぱいだな。
ずっと同じ物を口に入れ続けてるから、主に精神的にだけど。
美味しいんだけどね?
「シルク、ありがとう。私はもう良いよ」
ひたすらに給餌してくるシルクにストップをかけると、すかさず顔を綺麗にされた。
いや、別に汚れてはいないと思うけど。
「これ減らないんだけど」
「いやー、大分頑張ってると思いますよ」
ロシェさんの嘆きでそちらを見てみたら、バスケットボールサイズだったスカスカのカステラもどきは半分くらいまで削れてた。
いくら中身が少ないとはいえ、よくそこまで食べ進んだなぁ。
「無理そうならクリスにあげると良いですよ」
「んー、まだ結構有るけど大丈夫?」
「あ、全然問題無いです。むしろ普通の奴をまるまる一個でも多分大丈夫ですし」
あ、クリスが控えめにこくこく頷いてる。
まぁそりゃそうだよね。
似た様なサイズの丸太を丸呑みして圧縮してたんだから、空気で膨らんでるカステラなんて何の問題にもならないか。
「おー、ちゅるっと行った。これどうなってんの?」
「よく解んないです」
クリスが空間を歪ませてる事について訊かれても、奇妙な事はまぁ良いかでスルーしてる私には何も答えられないのだ。
どうせ考えても理解出来ないし。
「残飯処理させたみたいになっちゃってるけど、ありがとねー」
くりくりと撫でられて控えめな笑顔を返すクリス。
美味しい物を貰えた上に褒めてもらえて幸せって感じだな。
……いやラキちゃん、私も褒めてーみたいな顔して突っ込んで来られても困るぞ。
君は普通にご飯食べてただけでしょうに。
まぁどうせお姉ちゃん達も食べ終わらないと動けないから、それまでは遊んであげるけどさ。




