1514:口は慎んでおこう。
あ、でも流石に普通サイズと同じって訳にはいかないんだな。当然だけど。
極端に薄い部分だけで出来てるから、おせんべいみたいにパリパリした食感だ。
……これ、形は普通にワッフルだから、雑に噛んでたら縦になってる所が刺さりそうで危ないな。
食べられる程度とはいっても、私達にしてみれば結構硬いし。
まぁ気を付けてれば済む話だから、別に良いんだけど。
「やー、しかし助かったわぁ」
ん?
作り置きのたこ焼きを売ったりカステラ焼いて売ったりしてたお姉さんが、独り言みたいな感じで喋り始めた。
っていうかなんでこの人、カステラにもたまにタコ入れてるんだ。
「何が? って言っても聞こえないんだよね」
「何がだって言ってるぞ?」
「あ、ありがと」
微妙に離れた机から、アヤメさんがロシェさんの言葉を中継してくれた。
アヤメさん、二重に聴力強化されてるから人混みで距離が有るなんて状況でも聞き取ってくれるから助かるなぁ。
「いやさ、食べ放題なんて言われたからヤバいなーって思っててんけどな」
「別にそんなには食べないけどね」
ロシェさんが聞こえないのを承知でツッコんでる。
うん、まぁ毎日延々と居座られたりでもしなきゃ、一人分くらいなら材料費自体は大した事は無いよね。
鉄板を換えたり普段とは別の生地を用意したりと色々有るから、その分の負担は結構有るだろうけど。
「ちっこい【妖精】になってくれたおかげで、殆ど食われずに済むっちゅう事やねー」
うん、それは確かに助かるだろうね。
数も焼かなくて良いから手間も少ないし。
……さっきは謎の手間をかけてきてたけど。
「あんまそういう事言わない方が良いぞ?」
「うん? まぁ確かに、目の前ではっきり言われたら気ぃ悪いかもなぁ」
アヤメさんの忠告に、たはーって顔でロシェさんを見るお姉さん。
「いや、そういう事じゃなくてさ」
ん?
「【妖精】ってその気になりゃ体積とか無視して無限に食べられるからさ。下手に怒らせたら、店ごと腹の中に招待されるかもしれないぞ?」
「調子に乗ったんは謝るんで勘弁してください」
「いや、やらないけど…… 出来るの?」
「あー、まぁやろうと思えば多分……」
直接もぐもぐ食べるなら見た目通りの量しか食べられないだろうけど、魔力で溶かせばどうにでもなると思う。
その手が無理だとしても、魔力のボールに入れて分解すれば問題無く吸い込めるだろうし。
……っていうかご招待って、お姉さんまで頂いちゃう方向なのか。
まぁ【妖精】的に考えると、この店の中で一番美味しいのはお姉さんだと思うけどさ。




