1510:見覚えのある店に行こう。
あ、気配が消えた。
もういいですよって事か。
「さて、それじゃ行こうか」
「あいあい」
なんだかんだで足を止めちゃってたので、気を取り直して市場へ向かおう。
……なんか背後に気配を感じるんだけど、どういうアピールか解らないのでスルーしておこう。
何か有るならレティさんを通じて言ってくるだろうし。
その後は何事も無く市場に着いたわけだけど、ロシェさんは何のお店に案内してくれるのかな?
「えーと、ここからだと…… あ、こっちこっち」
高めの位置に移動して確認したロシェさんの誘導に従って周囲に気を付けながら進んでいく。
人の頭よりは高い位置に居るとはいえ、たまに長物を持ってる人とかも居るからね。
「あの店だよー」
「……んん?」
案内された屋台を見て、アヤメさんが首をひねっている。
うん、そりゃそうだよね。
だってアレ、朝にたこ焼き食べた屋台だし。
「やー、来たよー」
「げぇっ!?」
「なんか凄い声出ましたけど」
ロシェさん、このお姉さんに何やったんだよ。
んげーって言ったぞ。
「マジで来よった…… あ、いらっしゃーい」
うわぁ……って顔から接客モードに切り替えて、どうぞどうぞと【妖精】席を勧めてきた。
「案内されて来たんだけど、知り合いなのか?」
「一応……」
アヤメさんの質問にそうだと言いつつも、「そんな良いものじゃない」って顔してる。
なんか露骨に嫌がられてない?
「んじゃ準備するから待っとってや……」
「ん? あぁ」
屋台のお姉さん、出してたたこ焼きの具とか生地とかを横にどけてから、近くの箱から色々取り出し始めた。
「ロシェさん、この人に何やったんですか……?」
「いやー、色々有ってねー」
その色々が気になるんだけど……
「開業資金だけは勘弁してくれって言うから、焼き立てお菓子を好きなだけ食べさせてくれるって条件で手を打ったんだよ」
「……自業自得の類ですか?」
「そういう事だねー」
この人もダメなおねーさんだったか……
そんな大事なお金でギャンブルなんてするんじゃありません。
というかなんでそこで、開業する店の商品の食べ放題じゃないんだよ。
ここたこ焼きの屋台でしょうに。




