1508:照れられよう。
「まぁそういうの、こうやって口に出すだけでもマズいかもしれないんですけどね」
「うん? そうなの?」
「実際の所は判んないんですけど、【妖精】なんて常時アリア様の部下に見張られてると思っておいた方が良いですし」
「あー、なんかちょいちょい見かけてた、いきなり出てくる人たち?」
「ですね。普通ならそんな暇じゃないで終わる話なんですけど」
「本来放し飼いにしていい生き物じゃないからな……」
「あー……」
アヤメさんのコメントに深く納得するロシェさん。
別に飼われてはいない……と思うけど。
でもまぁ、ほんとにそうなんだよね。
普通に考えたら、「活動して良いのは庭園の中だけ」とかって感じで軟禁されててもおかしくないし。
それどころか監禁されたり逆に街から排除されたりしても不思議じゃないというか当たり前というか。
この種族、完全に人類の敵としか思えないし。
「しかもその中に一人、距離も遮蔽物も一切関係無さそうな人も居ますしね」
「え?」
「対人恐怖症を拗らせ過ぎて、次元の壁を超えて隠れちゃってるらしいんですよね……」
「なにそれすごい」
うん、本当に凄いと思う。無駄な方向に。
……クリス、その手が有ったかみたいな顔をしないの。
多分真似するのは無理だと思うよ。
「なんか空間系とかそういう魔法に関しては桁違いの天才だったらしくて……」
「やりたい事と出来る事が噛み合っちゃったかー」
「ですねぇ。まぁそういう凄い人も見てるん……ぅぷっ!?」
「え、何? どしたの?」
なんかいきなり顔の周りに違和感が発生したと思ったら、顔というか頭に向けて、いろんな方向から風がぶわっと吹いてきた。
何が起きたんだ……?
「『あまり褒められると恥ずかしいです……』だそうですよ」
「……気軽に人が居る空間を削り取らないでもらえませんか……?」
「物騒過ぎる……」
レティさんがベルさんからのお言葉を伝えてくれた。
天才とか凄い人とか言ってたせいで、恥ずかしがり屋のベルさんが照れてしまったらしい。
だからって普通なら即死する様な攻撃を気軽に仕掛けてこないでくれないかな。
今の感じからすると、【妖精】の異常な魔法防御力が無かったら首から上が周りの空気とかと一緒に異次元に飛ばされてたでしょ。
さっきのは周りの空気だけが連れていかれたせいで、真空状態になった所に周りの空気が流れ込んできたんだろうな。
「とまぁ今のでも解る通り、しっかり全部聞かれてますから」
「今のはそんなノリで済ませて良いもんなの……?」
「まぁ魔法攻撃なら私には効かないって解った上でやってる事ですし」
ただの照れ隠しだし、文句を言うほどの事では無いだろう。
【妖精】に攻撃するつもりだったら、魔法じゃなくて物理的な手段で来るはずだしね。




