1498:謎の絡まれ方をしよう。
さて、気を取り直して帰宅帰宅っと。
あ、そうだ。
一応言っておいた方が良いかな。
「そうそう、今アリア様が遊びに来てるから」
『遊びに』で良いのかな?
まぁ少なくとも仕事ではないんだし、そういう括りで問題は無いか。
「あの人は暇なのか……?」
「あー……まぁ…… 頑張って暇を作ってるんじゃないかな……?」
アヤメさんのやや呆れ気味のコメントには、控えめな弁護をしておく。
ちゃんとお仕事はやってる訳だし、空いた時間でアリア様が何をするかは自由だろう。
うちにばっかり来てると、なんか他のプレイヤーとかとの不公平感が無くも無いけどね。
まぁそこは私に言われても困るし、来てほしい人は頑張ってアリア様の興味を引いてくれとしか言えないな。
アリア様、面白そうな事が有れば放っといても現れるだろうし。
……なんか失礼な言い方だけど、別に間違ってはいないよね。
「おかえりー」
「ただいまー」
めーちゃんに挨拶を返しつつ、テーブルの上の家へと向かう。
「おー、庭付き一軒家だ」
「いちいち無駄に手が込んでるな……」
一応考えが有って用意した物だから、そこはまぁ良いんじゃないかと思う。
いや、それを知らなきゃそう言うよね、とも思うけど。
「アヤメちゃーん」
「ん?」
あれ、どうしたんだろう。
挨拶以外でめーちゃんから声をかけるのは、ちょっと珍しいな。
「アリア様がー、机に手を置いてみてくれだってー」
「……嫌な予感しかしないなぁ」
あぁ、伝言が有ったのか。
アヤメさん、若干嫌がりつつも逆らう選択肢は無いんだよね。
まぁ何か有るにしても、敢えて拒否するほどの事じゃないからだろうけど。
「うぉっ…… うわ小っさ」
そっと置かれた手の近くに配置されてた茂みから、ラキに乗ってしゅばっと飛び出してくるアリア様。
……何をやってるんだ、あのお姫様は。
アヤメさん、ちょっとびっくりして手を引きそうになってたな。
あのサイズ差だとピクッて反応するだけでも大変だから、あんまり急に現れるのは危ないと思う。
いや、まぁ大変って言っても別に怪我とかはしないからセーフなんだろうけどさ。
「こないだのアヤメちゃんは、この半分以下だったけどねー」
「まぁそうなんだけどさ…… って、登られると動けないんですけど」
何故かラキから跳び下りて、よじよじとアヤメさんの指に登っていくアリア様。
登りきって爪の上でえっへんと胸を張り、ラキを呼び寄せて再度騎乗してる。
「いやだからその、動けないんですけど……」
さあゆけーとラキに号令を掛けて、アヤメさんの指先から肩に向かってどんどん登っていく。
あれ、アリア様から見るとすっごい高さだろうになぁ。
「おぉ、アヤメちゃんが制覇されちゃった」
「登頂成功ですねぇ」
……アヤメさんの頭の上に、アリア様の旗が立ってしまった。
いや本当に何をやってるんだ、あの王女様は。
というかなんでわざわざあんな旗まで用意してるんだ。
「何でも良いから早いとこ降りてほしい……」
くっつかれてたら微動だにできないもんなぁ。
喋る振動さえ危ないだろうから、めっちゃ小声だし。




