1481:煙に巻かれよう。
っていうかあれだけ暴れられても振り落とされないあたり、流石カトリーヌさんだな。
何かコツとかが有るんだろうし、そういう機会が有れば教えてもらおうかな?
まぁ自力で空を飛べちゃう以上、その機会はほぼ無いんじゃないかと思うけど。
「お」
あ、そうこうしてる間にロシェさんも習得出来たっぽい。
「出来ました?」
「おっけおっけー」
パネルを確認して頷きを返してくる。
あれっ?て感じも無かったので、ちゃんと二つとも取れてるんだろう。
「んじゃ私は煙の方を試してみよう」
念のために私達から少し離れて、そのまま背中を向けて息を吸う。
「せーの、ふーぅふほぁっ!?」
……調整せずに素で発動してみたんだろうけど、なんだあの量は。
口から出た瞬間にぶわっと広がっていって、普通サイズの人間がすっぽり隠れるくらいのサイズの煙幕が一瞬で発生したんだけど。
ロシェさん、あまりの勢いに驚いて、ちょっとむせてるし。
「あーびっくりした」
「すっごい出ましたね……」
魔法とか【妖精】に常識なんか通用しないのは解ってるけど、やっぱり見た目と結果が離れすぎてたらどうしてもなぁ。
「範囲といい濃度といい、凄まじい性能ですわねぇ」
あ、カトリーヌさんがチェックしに行ってる。
……なんか肘の辺りまで突っ込んだ腕、先の方が見えてないんだけど。
人間サイズで考えたら、指を突き刺したら爪が見えてないようなもんでしょアレ。
「では失礼して」
……躊躇なく潜っていったな。
まぁ中に何も潜んだりはしてないんだから、別に危なくは……無くもないのか?
あれだけの濃さの煙の中で、ちゃんと呼吸とか出来るんだろうか。
いや、出来ないなら出来ないで苦しくなったら出てくれば良いだけか。
「あー、魔力の煙だから……」
「はい? ……あぁ、殆ど見えませんね」
ロシェさんに言われて気付いたけど、包んでるのが魔力の煙なせいで、【魔力感知】で見ても【妖精】の目立ちすぎる魔力が大体の位置しか把握できない。
そっちの方面でも優秀な煙幕なのか……
いや、まぁ煙自体が目立ち過ぎるから何とも言えないんだけど。
ん、煙幕って元々そういう物か?
まぁ良いや。
あ、出てきた。
「地に足の付いていない状況で、一切何も見えないというのは中々にスリルが有りますわ」
「あー、確かにちょっと危ないかもね」
歩いてるなら悪くても躓いて転んだりするくらいだろうけど、【浮遊】を使ってたら重力も無視してるからなぁ。
最悪の場合、脱出しようとやみくもに飛んで行ったら正面に地面が有ったりするかもしれないわけだ。
いやまぁゆっくり飛べば良いというか、【浮遊】を弱めて重力に捕まってみれば良いだけだけど。
「といいますか」
「ん?」
「自然には散っていきませんのね」
「あ、そういえば」
言われてみればたしかに、出た時と殆ど変わらない形のままでその場に残り続けてるな。
カトリーヌさんが出入りして変形したくらいか。
煙って普通は上に昇っていくものだろうに。
まぁどう考えても普通の煙じゃないんだけど。
「……どうしよ?」
「まぁ煙ですし…… 扇いだりしておけば良いんじゃないですかね?」
少なくとも普通に出入りする事は出来てる訳だし、風とかで散らせば何とかなりそうだよね。
「ぴゃっ」
あ、ぴーちゃんがぼふんと突っ込んで行った。
ちょっと気になってたのか?
……ん?
なんか煙が変な動きを……
「おぉ、あんな事も出来るんだね」
「出来るんですねぇ……」
吸い上げられる様に昇って行った煙の中から、羽を広げたままコマみたいに回るぴーちゃんの姿が。
あれ、羽の向きに微妙な角度を付けて、扇風機……というか換気扇みたいにしてるのかな?
返事が完全に他人事だけど、私も初めて見たから仕方ないよね。




