1432:否定しきれないでいよう。
「で、だ。僕はデイヴィス。ディーと呼ばれているよ」
「ロシェです。よろしくお願いします」
「うん、よろしく。僕は主に機械工学を研究していて」
「私は生物学が主体ね。……あらあら、妬けるわねぇ」
「あ、すみません」
言葉を続けたのにあんまり見てもらえなかったジェイさんが、残念そうな顔で笑ってる。
まぁうん、「こういった物をね」って感じでがしょんがしょんと腕を変形させられたら、そっちを見ちゃうのは仕方ないよね。
ジェイさんは先にネタばらししちゃってたから、瞬間的な注目度では勝てないだろう。
「せっかくだから、色々見せてもらいます?」
「あ、良いの?」
「とりあえず案内はここで最後ですし、こっちも特に予定はありませんしね」
一応除草作業とかは有るけど、別にやらなくてもまだ魔力球は足りてるし。
そっちの案内もした方が良いのかもしれないけど、まぁ時間が無くなったら概要だけ伝えてライサさんに問い合わせてもらえば問題無いだろう。
「うふふ。怖くないわよー?」
ん?
あぁ、シェラとういろうちゃんに挨拶してるのか。
……なんかぴーちゃんが気を付けてねって感じで吹きこんでたっぽいな。
怖いとか嫌いとかまではいかないけど、ちょっと警戒気味にきょろきょろしてるし。
ういろうちゃんはなんというか、気にせずにのほほんとした感じで足下をむにむに…… ってなんで柔らかくしてるんだ。
いや、揉んでる仔猫は可愛いけどさ。
「この子はシェラで、そっちの子はロシェさんの召喚獣のういろうちゃんです。はいはい、怖くないかはともかくとして、悪い人じゃ……ないから大丈夫だよー」
「間が空いたわねぇ」
「いやー、だっていろいろやってるじゃないですか?」
「うふふ」
「心外ねぇ」とか言わずに静かに笑われると、余計に怖いぞ。
……あ、そういえば予定と言えば、一応有ったな。
ここでのだけど。
「そうだ、ジェイさん。ちょっと良いですか?」
「あらあら、ご指名かしら。嬉しいわねぇ」
いや、二人の研究は別系統なんだから、大抵の場合はどちらかを指名する事になるよね?
両方の知識や技術が必要な場合は別だけどさ。
「それじゃ、ロシェさんとういろうさんはこちらへどうぞ」
「はーい。それじゃ、また後で…… おぉぅ」
「行ってらっしゃーい」
突然現れるドアに驚きつつも、素直にディーさんについて行くロシェさん。
大丈夫だとは思うけど、ちゃんと無事で帰ってきてね?
……というかディーさん、ういろうちゃんにもさん付けなんだ。
いや、だから何だって話だけど。




