1427:前世の悪行を知ろう。
「まったく……」
呆れ気味の笑顔で溜息をついて、こちらにひらひらと手を振って戻って行くフミさん。
本気で怒ってる訳じゃなくて、仲の良い二人がじゃれ合ってる感じなんだろうな。
いや、まぁきっちりお説教はするんだろうけど。
「あー…… まぁとりあえず、次行きますか」
「そだね。で、次は?」
「えーと、そっちに有る組合というか訓練場は行かなくても解りますよね?」
「うん、あそこは何回も行ってるし大丈夫」
一応訊いたけど、やっぱり問題無いよね。
普通は役場じゃなくてこっちで練習する訳だし、外に出たら拾ったりしたものを売りに来る場所だし。
「出禁にもなってないしね」
「……なってるお店とか有るんですか?」
「二軒ほど」
「何やったんですか……」
出入り禁止になるって相当だと思うんだけど?
「いやぁ、よく有る事だよ」
「出禁になるって時点でよくは無いですよね?」
「そう?」
うん。
少なくとも私の常識だとそうだと思うよ。
「ただ鉄砲で打ちに行って負けちゃっただけだから、悪い事はしてないよ」
「ん?」
「『鉄砲で打ちに行く』というのは、お金を持たずにギャンブルをしに行ったという事ですわね」
「あぁ……」
そういう用語が有るのか。
一瞬何事かと思ったよ。
というかカトリーヌさんはなんで知ってるのだろうか。
まぁカトリーヌさんだし気にするだけ無駄か。
「いや、っていうかそれ悪い事ですよね?」
「ほら、勝てばね? 問題無いじゃない?」
「負けたんですよね?」
「うん」
そりゃもう来るなって言われもするよ。
むしろ、割と気軽に処刑されたり逮捕されたりする世界なのに、よくそれで済んだと言うべきか。
「一応言っておきますけど、【妖精】でいろいろ優遇されるからってゴネたりせずに、遊ぶにしてもちゃんとしてくださいね?」
遊ぶなとは言わないし命令する権利も無いけど、【妖精】全体の評判を落とす行為は出来るだけ避けてほしいからお願いだけはしておこう。
「大丈夫大丈夫。皆に迷惑をかけるつもりは無いから、その辺はちゃんとするよ」
「なら良いんですけど……」
……信用して良いんだろうか。
でも前にパーティーを組んでた人達も怒って解散したりはしてないんだから、自分たちに被害が来ることは無かったって事だよね。
パーティーのお金にも手を付けたりはしてないんだし、最低限の事は信用して良いのかな。
いや、お金持たずに勝負してる時点で最低限を割ってる気はするけど。
下手したら責任取ってお前らが払えって乗り込まれてたかもしれないし。
まぁ、そうなる前に自分で何とかする覚悟が有ってやってたのかもしれないけどさ。
日雇い的なお仕事とか、この街ならいくらでもありそうだしね。




