1419:共同制作をしよう。
「あ、そうだ」
む?
「もういっそ開き直って、ちょいちょいっと加工してお役所にでも納品しちゃう? 変なとこに行くよりは良いと思うけど」
「あー…… まぁそれでも良いですけど」
そもそも、別に放っといても変な事するとは思ってないしなぁ。
あと私に言わせると、役場も割と「変な所」だと思ってるよ。
それが置かれそうな受付カウンターあたりが特に。
「あんまり時間かかるのもあれだし……」
ん、真ん丸になってたのを台の上にぼすっと置いて、上から押さえてちょっと平たくしたな。
やたら分厚い円盤というか、ちょっと潰れたあんぱんというか。
「よし、それじゃこの上を歩いて横断してみて」
「……肉球マークみたいなものですか?」
「そうそう」
小っちゃい工事現場とかでたまに発生するやつか。
あれって見る側は和むけど、施工側としてはたまったもんじゃないよね。
しかし確かにちゃんとした物を作る様な時間は無いけど、流石に手抜き過ぎるんじゃないかな?
だったらどうするのかって言われても、特に対案は無いけどさ。
ま、良いか。
こっちとしてはただ歩くだけだし、誰かが困る訳でなし。
「よっ、ととっ?」
ふにふにってくらいに柔らかくしたから軽く乗るだけで良いかなと思ったけど、こっちにしてみればまだ十分硬いんだった。
【浮遊】を解除して普通に歩くくらいでちょうど良いっぽいな。
一歩目がちょっと薄くなったけど、まぁ最後の一歩も薄くすればバランスは取れるだろう。
「ほいっ、と。こんな感じで良いですか?」
「うんうん、良いねー。それじゃ…… あれ?」
「どうかしましたか?」
なんか端っこに触れたまま、首を傾げてるけど。
「多分だけど、妖精さんの影響が強すぎて、私の魔力じゃ変質させられないみたい」
「あ、そういう事も起きるんですね……」
言われてみれば、そうなっても不思議ではないのか。
魔力を使って普通より柔らかくしてるんだから、それを中和しようと思ったら同程度は注がないと駄目そうだし。
というか考え方によっては柔らかくするのも魔法攻撃みたいなものだから、【妖精】からの影響を打ち消すのは普通じゃ無理なのかもしれない。
とりあえず一旦離れてもらって、魔力を抜いて元の…… いや、逆に魔力を流して元の状態よりも硬質化させておこう。
そっちの方が壊れにくそうだし。
「妖精さん妖精さん」
「はい?」
「入れ過ぎてない?」
「……あ」
流し込む量が雑過ぎたのか、硬質化だけでは使い切れずに中に溜まっていっちゃったらしい。
元が魔石だったから、魔力が染み込みやすい性質でも持ってたのかな。
これ、魔石として貰った時よりも魔力を含んだ状態になってるんじゃないか……?
「えーと……」
とりあえず光ったり分解されたりするほどの魔力は流してないし、このままでも危なくは無い……よね?
「まぁ良いか」
「あ、放棄した」
良いじゃない。
【妖精】なんて何やっても変な事ばっかり起きるんだから、諦めが肝心なんだよ。




