1420:怪しげなお金を知ろう。
ちょっと思ったのとは違う結果になってるけど、とりあえず硬化は出来てるので離れるとしよう。
「吸い直しておかなくて良いの?」
「まぁ良いんじゃないですかね」
補充するだけなら小さい結晶食べれば良いだけだし。
「あげた意味が無くなった気がするけど…… まぁ良いか」
うん、気にしない気にしない。
結果的には羊さんが得してるだけだけど、別段こっちに不満は無いんだし。
「さて、それじゃ早速お役所に届けてくるね」
「はーい」
私には持ち運べないから、そこは任せるしかないな。
手間をかけてしまうけど仕方ない。
「私は材料費とお駄賃だけもらって、残りのお金は妖精さん基金に振り込んでおくねー」
「ちょっと待って? ……もらえます?」
「ん?」
謎の単語で思考停止したせいで、丁寧語が解除されてしまったよ。
なにそのシステム、初耳なんだけど。
「何にですって?」
「妖精さん基金」
……聞き間違いじゃなかったみたいだな。
そんな解り易い名前、間違えようがないけどさ。
「あれ、知らなかったんだ」
「そんな怪しげなもの、知りませんよ……」
「いやいや、内容はいたってまともなものだよ?」
「そうなんですか?」
名前からはまともそうな気配が全く感じられないんだけど。
私がやらかした事への補填とかに使われてそうな名前だし。
「妖精さんや【妖精】に限った話じゃなくて、普通には生活しづらい特殊な種族の人達の為の、街や施設の整備費用っていう用途がメインだからね」
「あー…… 思ったよりも本当にまともですね」
なるほど、屋台の専用席や役場のドアとか、そういう物の設置費用に使われるのか。
「まぁ行動範囲とかの関係で、やっぱり殆どは【妖精】関係の話になってるみたいだけどね」
「他の人達は殆ど動けませんしね……」
あ、でもめーちゃんはおじさんに肥料を撒いてもらってたみたいだし、ソニアちゃんもいろんな本を用意してもらったりしてるな。
そういう事への礼金にも使われてるのかな?
「あ」
「……何ですか?」
凄く嫌な予感のする呟きはやめてほしいんだけど。
何を思い出したんだ。
「妖精さんの性格からして、『勘弁してよ……』って言いそうな話が一つ有るけど、聞く?」
「正直あんまり聞きたくは無いんですけど、そういう言い方をされたら聞かざるを得ないじゃないですか」
いや、まぁ気にせずにノーって言っても良いんだけどさ。
知るタイミングが変わるだけだろうから、今聞いても同じだもんね。
「妖精さん基金、設立者がアリア様なんだけどさ」
当然と言えば当然かもしれないけど、もうその時点で勘弁してよって言いたくなるよ?
「アリア様の指示で、基金からのお金は全部『妖精さん』の名前で出ていってるらしいよ」
「何をやってるんですか、あの王女様は……」
悪い事じゃないとはいえ、勝手に人の名前を使うんじゃないよ。
いや、正確には私の名前じゃないけどさ。
そもそも基金の名前の時点でアレだし。
でも用途がほぼ私達の為にって事だから、文句が言いづらいな……
くそぅ、相変わらず困らせたいのか喜ばせたいのかよく判らない人だよ。




