1413:静かに入ろう。
いろいろあっていつもよりちょっと遅いけど、無事に到着だな。
普通サイズの人に先導してもらうと、気を付ける事が減って助かるね。
まぁ急に止まられると背中にぶつかって怪我をするから、前の人の動きにだけは気を付けておかないといけないけど。
「あ、裏に回るんだ」
「用が有るのは工房の方ですしね」
お店の方に入っても仕方ないのだ。
一応ロシェさんは注文するんだから店舗側のお客さんとも言えるけど、その為の話し合いで結局奥に入る事になるんだしね。
「おー、ここもドアが有る」
「というかここが最初……なのかな? このサイズのドアを作ってくれてるの、ここのフミさんみたいですし」
「あー、そうなんだ」
【妖精】用の入り口を見たロシェさんの言葉につい口を挟んだけど、だからどうなんだって話だったな。
そもそもどこが最初に完成したのかなんて知らないし。
壁に穴を空ける手間を考えたら、役場みたいに窓の一部を改造する方がどう考えても楽だしなぁ。
まぁ今はティアーナさんが居るんだし、後ろをついて行くだけで良いだろう。
「むっ」
……抱っこと鞄で両手が塞がってて、一瞬どうしようか迷ったな。
ありがとねーって言って降ろしてるけど、乗せてもらったんだからむしろこっちがお礼を言う側だよね。
「おっじゃまっ…… しまーす……はい……ごめんなさい」
ティアーナさん、元気にドアを開けた瞬間に思いっきり睨まれてしょぼんってなっちゃった。
「こわー……」
「『出て行くか、さもなくば死ぬか』といった気迫でしたわねぇ」
うん、最初のノリで最後まで言ってたら、頭に鑿とか小刀とかが飛んできてそうな雰囲気だったね。
流石に本当に投げ……はしたとしても、多分掠めて壁に突き刺さるくらいにしてはくれるだろうけど。
カトリーヌさんが何やら嬉しそうなのはいつもどおりだから、あんまり気にしないでおこう。
「まぁ無駄に騒ぎさえしなきゃ大丈夫ですから」
一応第一印象をマシにしておくために、フォローはしておこう。
前に一度来てるんだし、必要無いかもしれないけど。
ん?
あー、前も割とテンション高かったのにって思ったら、丁度いつもの羊さんが作業してたところだったのか。
柔らかい笑顔でこんにちはーって会釈してくれてるし、「お邪魔してごめんなさい」ってのもかねてこっちからもお辞儀を返しておこう。
お邪魔したのは私じゃない気がするけど、まぁそれは置いといて。




