1402:まずは見せよう。
最初の人は……りんごか。
うん、無難なところだな。
「一応やり方を説明しますと、固めた魔力で包んでありますんで、まぁなるべく手に付いたりしない様に気を付けたりしつつ、【吸精】で器を消しちゃえばオッケーです。ありがとーございまーす」
別段必要無さそうな説明を簡単に済ませて、お客さんにぺこりとお辞儀をしておく。
出した本人なら魔法を解除するだけでも良いんだけど、今日のロシェさんのはそうじゃないしね。
「うん、とりあえずやってみよう」
あ、先に行くんだ。
まぁもう一回見る意味もあんまり無いか。
「お、バナナだ。……ちょっと齧っちゃダメかな?」
「ダメなんじゃないですかね。まぁ面白がってくれるかもしれませんけど、固定されてないから危ないですよ」
「あー、そっか」
ちょっと持ってる手がブレるだけでも、こっちからすれば柔らかめの丸太でぶん殴られる様なものだし。
塗るのは蜜であって、血ではないのだ。
というか【妖精】の血なんて塗っちゃうと、普通の人には危な過ぎるから廃棄処分して新しいのと交換だよ。
「ほいっと。あ、ちょっと付いた」
あざーっすと頭を下げて、指に付いた蜜を舐めつつカトリーヌさんと交代するロシェさん。
「バナナ好きなんですか?」
「ん? 甘い物は大体好きだなぁ」
……自分で聞いておいてなんだけど、かなりどうでも良いな。
知る意味もあんまり無いし。
まぁ雑談ってそんなもんか。
おっと、私の番だな。
……って、早速やや色物気味なきゅうりか。
いや、別段おかしな組み合わせでもないけどさ。
「あー、たまにあれっ?て感じの物も出てきますけど、まぁ気にせずに塗っちゃってください」
「ほいほい」
おばちゃんの店で買った物って条件な以上、そこまでおかしなものは出てこないはずだしね。
やたらと品揃えが豊富だから、そんなの置いてたっけ……あ、あそこに有るな……って事は有るけど。




