1396:口上を遮ろう。
「あぁ、いらっしゃーい」
「どもー」
今日も笑顔で迎えてくれるおばちゃんに、こちらも笑顔でお辞儀を返す。
「今日は白い子はお留守番かい? と、そちらさんは初めましてだね」
ん?
あぁ、知ってるってだけで別に面識はなかったのかな?
「どうもー。ロシェって言いまーす」
「聞こえてませんけどね」
「あ、そっか」
皆して【聴覚強化】取っちゃってるから忘れがちだけど、普通は私たちの声は聞こえないからね。
いや、まぁついさっきパーティーメンバーに中継してたんだから、今のは本当にただのうっかりだろうけど。
ん?
なんか今……
「そういう時には私にお任せ! 呼ばれて飛び」
「いや呼んではいないですけど」
「反応早っ!? せめて最後まで言わせてくれても良いのにー」
驚いてつい咄嗟にツッコんだけど、別に最後まで言い切ってくれても良いんだぞ。
スルーするけど。
っていうか兎さん、どこに潜んでたんだ。
出てくる直前にザッて踏み切る様な音がしたから、そこらで待ち構えてたんだろうけどさ。
「まぁそれは置いといて。それじゃお願いできますか?」
「はーい」
テンションにはついて行けないけど、居てくれると助かるのは事実なんだよね。
「……濃いねぇ」
「否定はしませんけど多分聞こえてますよ」
おばちゃんにロシェさんの挨拶を伝えてる兎さんのウサ耳が、微妙にこっち寄りに向いたし。
まぁ別にけなしたりする様な感じではなかったし、聞こえても問題無いんだろうけど。
あと今日は普通の服だから、前よりはまだまともだしね。
「はいよ、ロシェちゃんね」
「ちゃん付けされる様な歳でも…… まぁ上から見れば誤差かぁ」
よろしくねと続けるおばちゃんに軽く頭を下げつつ、ちょっぴり困惑気味の呟きを漏らしてる。
でもまぁうん、それはそうだろうね。
される様なとか言うなら、私なんて間違いなくされない側だし。
理由は別だけど。
むしろされるされないじゃなくて、他人に名前を呼んでもらえないレベルなんだけどさ。
というか二十過ぎくらいなら、逆に『様な』とか言うほどの歳でもないんじゃないかな?。
私から見れば年上でも、おばちゃんくらいの人達から見ればまだまだ子供だろうしね。




