1384:挨拶はちゃんとしよう。
というかこの探知行為、ある意味覗きみたいなものなのでは?
いや、でもこっちも好きで覗いてる訳ではないしなぁ。
ソニアちゃんの……というか【吸血鬼】の魔力が強すぎて、観ようとしなくても観えちゃうし。
まぁその辺はお互い様というか、魔力に関する問題だし【妖精】の方が顕著なんだろうけどさ。
向こうからも丸見えだろうし、だから潜ってないのかもしれないし。
うん、問題無い問題無い。
って事にしておこう。
……ん?
なんか塔の近くでういろうちゃんが伏せて、何かを狙ってるのかおしりをふりふりしてるのが見える。
あぁ、その向こうの物陰から、シェラが即席のおもちゃでじゃらしてるのか。
あっちは平和だなぁ。
「階段を下りた所に【妖精】用のドアが…… うん、あれですね」
「お、ほんとだ」
「ここは日光対策で二重ドアになってるんで、私達の方はちょっと長めの通路になってますね」
「あぁ、なるほど」
人間側の設備に合わせて奥行きが取られてるから、このサイズから見ると無駄に長いんだよね。
別に何か困る訳じゃないし、種族特性を考えれば仕方ない事なんだけど。
入り口のドアがキッチリ閉まったのを確認してから、少し光りながら奥のドアへ向かう。
半開きになってたりしたら大変だから、その辺は気を付けておかないとね。
「どもー、白雪でーす」
「はぁい、どうぞー……」
お、ドアが中から開けられた。
今日は…… 白いワンポイントが無いって事は、えるちゃんの方か。
「お邪魔しまーす」
顔を近づけてすんすんと嗅いでくるえるちゃんを、「ありがとねー」と軽く撫でつつお部屋に入る。
やっぱ珠ちゃんやういろうちゃんと比べると、大分大きいな。
「かしこいなぁ…… あ、お邪魔します」
器用に【妖精】用のドアを開けるにゃんこに感心しつつ、ロシェさんが続いて入って来る。
まぁにゃんことはいえ召喚獣だし、このくらいはそこまで驚くほどでも無い気はするけどね。
「どうも…… ソニア・マルツォラッティ、です…… よろしく……」
「え、何この子、可愛過ぎない?」
「否定はしませんけど先に返事をしましょうよ……」
あとその手をわきわきさせるのをやめなさい。
変質者みたいだから。
いや、そんな露骨な変質者が居るのかとは思うけど。
「おっとごめんね。新人のロシェでーす。よろしくね、ソニアちゃん」
「はい…… よろしく、おねがい、します……」
うん、握手してるのを傍から見る限りは、すごく微笑ましい光景だなぁ。
実際は両方とも…… 少なくとも片方は、危険極まりない生き物だけど。




