1377:挨拶の為に戻ろう。
すいーっと先導するシルクの後ろをついて行き、アリア様達の居る部屋へ向かう。
あ、そういえば一応聞いておいた方が良いのかな?
「ロシェさんってクモとか蛇って大丈夫ですか?」
「ん? あー、慣れた慣れた。現実で触るのは出来れば遠慮したいけどね」
「なら大丈夫ですね」
ファンタジー系のVRゲームでちょいちょい敵として出るせいで、嫌でも慣れるしかないっぽいもんなぁ。
どうしても無理なら避けられる仕様な事も多いらしいけど。
「お邪魔しまーす。アリア様、こちらがロシェさんです」
「ちっちゃ……じゃなくてロシェです。よろしくお願いします」
「うむ。白雪、このままではロシェには聞こえぬだろうから、一度戻してもらえるか?」
「あぁ、そうですね」
横の方でおかえりーとわちゃわちゃしてるラキをそっと撫でてから、アリア様から少し離れた所に手を下ろす。
あ、クリスが知らない【妖精】に緊張して、テーブルの端から顔を覗かせてる。
大丈夫だよー怖くないよー。
……いやアリア様、こっちが目を離してるうちにまた登……らないと駄目なのか。
テーブルの上に立つのはよろしくないんだから、床まで連れて行かないといけないんだし。
「うん?」
「あ、普通の人に【妖精】の声が聞こえないのと同じで、この大きさだとアリア様の声が聞こえないんで、一度大きくなってもらいます」
「あ、なるほど。わざわざすみません」
私の手の上で「なに、気にするな」と手を振るアリア様に、ゆっくり魔力を流していく。
今のサイズ差で迂闊に動かすと潰しちゃうけど、あんまり大きくするとこっちの手が痛いから気を付けないと。
小指サイズから三十センチくらいの大きさまで戻った所でアリア様が手と膝をついて揺れに備えたので、そろそろ運べって事だと判断してそーっと床へと下ろしていく。
大きくなったって言ってもまだ五分の一くらいだから、慎重にやらないと危ないな。
「では改めて。この街の責任者を務めている、アングレット王国第四王女、アリアーヌ・キャロル・アングレットだ。よろしく頼む」
「よろしくお願いします」
なんというかアリア様、こうしてピシッとしてればちゃんと威厳が有るんだよなぁ。
いや、普段がだらしないとかそういう訳じゃないけどさ。
「ふむ……」
「なんでしょうか……?」
なんか挨拶が済んだと思ったらじろじろと見られ始めて、ロシェさんが引き気味だ。
その位はよく有る事だから、あんまり気にしなくて良いと思うよ。
「ほぅわっ!?」
「うむ、良い体だ」
いや、よくは無いなこれは。
なんでいきなり太ももを揉んだんだ。
そういう感じではないとはいえ、セクハラ扱いされても仕方ないぞ。




