1365:遠くから眺められよう。
む?
これかなり気付きにくい程度にだけど、スキルレベルか何かで蜜の生成量が増えてたりするのかな?
カトリーヌさんとは殆ど違わないけど、ロシェさんが生成してる蜜より地味ーに多い気がする。
元々対象の花の状態次第で上下するって仕様だし、ちょっとぐらい増えてもそれこそ誤差って感じだけど。
まぁ特に困る事ではないんだし、増えないよりは増えた方が良いか。
「お、甘い」
「そりゃ蜜ですし」
なんかロシェさんがつまみ食いしてる。
蜜を採取する魔法なんだし、出てくるのは基本的には甘い物だよね。
まぁ【樹人】とかを含めた植物全般に使えるんだし、甘くない物も採れたりはするだろうけど。
……松とかに使ったらえらい事になるのかな?
「そういえば、さっきからなんか見られてる気がするんだよね」
「思いっきり見られてますけど」
「いやモニカさんじゃなくてね」
それもそうか。
あれだけ見てる人相手に、気がするも何も無いよね。
「まぁどこに居ても大体誰かには見られますけどね」
「そんなもんかー」
「あの、よろしいですか?」
「うん?」
なんとなく解った感じでロシェさんが納得したところで、カトリーヌさんが小さく手を上げてきた。
別に普通に発言してくれて構わないんだけど。
「その視線ですが、めーちゃんさんなのでは?」
「あー、そうか。……あ、うん、そうらしいね」
庭園中央で塔と一緒に突き出してるめーちゃんが、カトリーヌさんの言葉で微妙に動いてアピールしてくる。
まぁこの位置だと、後ろ姿しか見えないんだけどね。
っていうかめーちゃん、耳良いな。
【聴力強化】、かなりレベルが高くなってるのかな?
「んん? あぁ、そういえば【樹人】って、目で見てる訳じゃないんだっけ?」
「らしいですね。……多分『そうだよー』って言ってますね」
いちいちリアクションするのも大変だろうし、別に無理に動かなくても良いんだよ?
いや、まぁ普段からのんびり周りを眺めてるだけだし、他にする事も無いんだろうけどさ。
「そういえば『今日のところは』って言ってたけど、明日からは自由参加な感じ?」
「そうですね。あと別に一人でやってもらっても良いですし、気が進まないならやらなくても…… うん、大丈夫ですよ」
「そんなぁって顔してるけど」
「気にしないでください」
いつもの事だからね。
でもまぁ、一応フォローみたいな事は言っておくか。
「とはいえ貴重……でもないけどかなり良い収入にはなるんで、やっておいた方が良いとは思いますけど」
レベルが上がるにつれて糸なり砂糖なりと、色々売れる品は出せる様になるから、貴重とまでは言えないか。
「そっかー。この蜜って、集めた後はどうするの?」
「んー、役場とかに卸す感じですね。王女様御用達ってやつですかね」
「はぇー。……んーと、これ悪口じゃないんだけどさ」
「はい?」
なんだなんだ。
何を言うつもりだロシェさん。
「アリア様、気さく過ぎて御用達の看板のありがたみが薄くない?」
「……まぁうん、否定はできませんけど」
実際あの人普段から、市場とかにふらっと出現したりするからなぁ。
そこら辺の屋台でプレイヤーに混ざって何か食べてる事さえ有るらしいし。
でもNPCからのアリア様の好感度って【妖精】並の高さだから、迂闊な事言うと【妖精】でもムッとされるかもしれないから気を付けた方が良いと思うよ。




