1345:当然の文句を言われよう。
「ふぁーっ」
うん、楽しそうなのは良いんだけどさ。
あんまり耳元で叫ばれると、結構騒がしいぞ。
まぁこのサイズで過ごしてるおかげで大音量には慣れてるから、このくらいなら全然構わないけどね。
「いやー、楽しいねぇ」
うん、まぁ楽しいよねと言われると否定はしないけど、こっちは事故ったら普通に死ぬんだから、割と怖くもあるよ。
普段やらない様な軌道で飛んでるから、うっかり掠ったりする可能性が無くもないしね。
「さて、そろそろ上に戻りますか」
「はーい、ありがとねー」
そろそろぴーちゃんも戻って来そうだけど、通った時にこっちが遊んでたらそのまま続行しそうだしね。
一応やる事も有るんだし、いつまでも遊び続けてる訳にもいかないだろう。
というかそれはお姉さん達だって同じだろうし。
「妖精さん妖精さん」
「はい?」
「なんか物陰からすっごい見られてるんだけど……」
「……あー、気にしなくて良いと思います……」
言われて遠くへ目をやると、モニカさんが何とも言えない顔でこっちを凝視してるのが見えた。
なんだろう、羨ましいとか小っちゃいのが増えてる可愛いとか、隠密さんそこ換われとかが混ざってそうだな。
いや、最後のは羨ましいと似た様なもんだけど。
これ終わったらそっち行くから、仕事しながら待っててくれとしか言えないよ。
「お帰り。よくやるねぇ……」
「安全は確保されてるから、アトラクション気分で大丈夫だしねー」
うん、まぁそれは確かだね。
しかもこのケースだと、縮めたのはカトリーヌさんだから私が事故ってもセーフだし。
落ちたり高速で地面を転がったりする羽目にはなるから、怖い思いはするかもしれないけど。
「お試ししてみますか?」
「やったら絞め……たら逆効果か」
うん、ダメだね。
それ言ったら多分やら……れはしないか。
冗談とかならともかく、本当に嫌がってる相手にそういう事はしなさそうだし。
私にやるのも止めてくれると助かるんだけど、まったくもうくらいのノリで流しちゃうから本気度が足りないんだろうな……
「おーい」
「ん? あ、どうも」
呼びかける声が聞こえた方を見てみると、珍しく遠くからジョージさんが歩いて来てる。
あぁ、今は他の人が居るから驚かせない様にか。
小さい状況にも唐突に出てこられる事にも慣れてないだろうしね。
「どうしたんですか?」
「苦情だよ苦情」
「あー…… はい、ごめんなさい」
まぁうん、現場の人を勝手に借りられたら、責任者としては文句も言いたくなるよね。
これは完全にこっちが悪い。
「ってのは二割くらいでな」
「はい?」
残り八割は何だろうか。
「そろそろ来るから、あっち見てりゃ解る」
んん?
さっきぴーちゃんが飛んで行った方を指差して消えていったけど、一体何が……
「……あー、うん、あっちは自主的なサボりって事なのかな」
「ちょっと楽しそうだけどね」
こっちに飛んでくるぴーちゃんの前後を二人の隠密さんが一緒に走りつつ、前の人が木の輪っかをぽーんと投げて、それをぴーちゃんが器用に潜り、落ちてきたのを後ろの人が回収して前にパスして返してる。
なに遊んでるんだとかいう以上に、なんであんな丁度良い輪っか持ってるんだ、あの隠密さんは。
まぁそれを言ってたらキリが無いんだけどさ。
……あ、走って来た隠密さん、急角度でターンして走り去って行った。
一瞬「やべっ」て顔してたし、見えないけどジョージさんに追われてるんだろうな……




