1343:巻くだけ巻いておこう。
そういえば、翅の上からくっついたら粉が付いちゃう様な……
まぁベタついたりはしないだろうし基本的には害も無いし、戻れば落ちるしで問題無いか。
「よっと」
背中にのすっと乗ってきたお姉さんの脚を抱えて、と。
「それじゃ、浮……く前に、一応固定しときます?」
「あー、お腹に一本くらいは欲しいかも」
「はーい」
にゅいーっとぶっとい糸……というか紐?を出して、後ろのお姉さんにちょっと手伝ってもらいつつくるくると三周ほど巻いておいた。
これならお互いに手を離したとしても、すぐに落ちたりはしないだろう。
「それじゃ浮いていくんで、怖かったりしたら言ってくださいね」
「よろしくー。この状態だと、落ちても怪我とかしないんだよね?」
「そうですね。すっごい怖いだろうって事以外は問題無いです」
「大問題だねぇ」
うん、本当にね。
まぁ慣れ次第ではあるから、人によってはそのうち問題無くなるんだろうけど。
「おー、高ーい」
「今は普通の人の顔くらいの高さですけど、大体五階くらいの高さですかね」
「っぽいねー」
がっしりしがみ付いてきてはいるものの、そこまで怖がってはいないみたいだな。
「んじゃちょっと動いてみますから、しっかり掴まっててくださいね」
「はいはい、よろしくー」
【浮遊】の効果が無いお姉さんの負担にならない様に、やや慎重に加速していこう。
というか流石に人一人乗っけてると、ちょっと負荷が強めだな。
翅も固定されてるし。
まぁ別に辛いって程でもないし、問題は無いか。
「ふぉー」
何やら後ろで変な声が上がってるけど、結構楽しそうだから大丈夫だろう。
「これで普通に歩いてるくらい?」
ん?
あ、普通サイズの人がって事ね。
「ですね。近くに何もないからちょっと解り辛いですけど」
「だねー」
自動車と違って建物や地面が遠いから、町中じゃなければ体感速度は言うほど速くはないんだよね。
極端に言うと飛行機に乗ってる時みたいなものかな?
ちょっと極端過ぎる気もするけど。
む、片手を離した?
あぁ、カトリーヌさんに乗ったもう一人のお姉さんに手を振ってるのか。
……あっちは割と余裕が無さそうだな。
首が絞まりそうな勢いでしがみついてるし。
というかあんまり絞めてると、カトリーヌさん落ちるよ。
あの人、絞まってても言いそうにないしさ。
あ、でも地上ならともかく、墜落するわけにはいかないから今は大丈夫か。
それに死んだりしたら三人とも元に戻っ……ちゃうって事は、本当に今だけは死んだらマズいな。
ぴーちゃんに乗ってった兎さん、上空で魔法の保護も無くなった状態で放り出される事になっちゃうよ。




