1338:仲間を下から見上げよう。
ん?
……なんか隠密さんの横に、大きめの木の板と畳まれた白い布が現れた。
別の隠密さんがそっと置いていったんだろうけど、なんだあれは。
広げた布を板にかぶせて、端っこを板の下に折り込んで板を包む形にセットしてる。
こらシェラちゃん、あんまり邪魔しちゃダメだぞ。
あぁ、消える時に服が地面に落ちない様に、そこに立ってからやってねって事かな?
別に板だけで良い気もするけど、まぁそこはどうでも良いか。
「おっけー。えーと…… ここに立てば良いんですか?」
準備が出来たらしい兎さんが、「さ、どうぞ」って感じの隠密さんに一応確認してから板の上に乗っていく。
靴を履いておかなくて良いのかと思ったけど、初期装備の奴じゃなさそうだから履いてても意味が無いのか。
「では、少しの間触れている必要が有りますので、出来るだけ動かないでいてくださいね」
「うぃ」
兎さんのおでこにくっついたカトリーヌさんが術を発動させて、兎さんが光に……って待てよ?
今ってシルクが居ないから、あの高さで縮めるのって割と危ないんじゃなかろうか。
まぁ人一人くらいなら受け止められない事はないし、最悪失敗しても隠密さんがカバーしてくれるだろう。
お、そろそろ実体化かな。
そういえば、ちゃんと調整してこっちと同じサイズになる様に発動してるんだな。
まぁカトリーヌさんのやる事だし、趣味さえ絡まなければ基本的には抜かりないか。
「んぉ……わぁっと」
実体化して落ち始めたのを認識したところで、カトリーヌさんがお姫様抱っこで兎さんを確保する。
まぁ背中には翅が有るし、あれが一番やりやすいだろうな。
「おー…… でっかいなぁ」
「こちらが小さいんですけどね」
普段の十倍サイズに見える仲間を見て、感嘆の声を漏らす兎さん。
知ってる人が相手だと、余計に変な感じが有るよね。
元々でっかい存在だって認識が出来ないし。
「おー、話には聞いてたけど本当に小っちゃくなった」
「出来ないなら言わないでしょ」
うん、そりゃそうだ。
何しにここまで連れてきたんだよって話になるよ。
「では、一旦下までご案内しますわ」
「下…… おおぅ、たっか」
言われて初めて下を見て、流石にちょっと硬くなる。
支えてるのがカトリーヌさんの腕だけだし、流石に慣れないと怖いよね。
特に私が行く必要は無いだろうけど、先回りして下で待ってるとしようかな。
「やほー……って、意外とでっかいね……」
「あー、うん、サイズ差が有ると判り辛いですけどね」
兎さんは普通の背丈だから、私がちょっと浮いてるのを引いても頭一つ分は差が有るもんなぁ。
「しかしこの視点、すっごいなぁ」
「何もかもが大きいから、慣れるまでは結構怖いんですよね」
「いや、ローアングル的な意味で」
「……セクハラとか言われない様に気を付けてくださいね」
そりゃこの高さからだと、どうしてもそういう事になるんだけどさ。
冗談で言ってるんだろうけど、あんまり見てると怒られかねないぞ。




