1336:一応理由は聞いてみよう。
まぁ完全否定で終わらせるのも流石に悪いので、一応話は聞いてみるべきか。
「あー…… なんでこんなのやりたがるんです?」
「私もちやほやされたーい……ってのは冗談で」
なぜ冗談を挟むのか。
いや、良いけどさ。
「ん? なんでかって?」
「うん」
あ、そっちの人達は聞こえてなかったのか。
まぁ聞こえなくても大体解るやり取りだったもんね。
「簡単に言うと、この子スピードバカでね」
「せめてスピード狂とかって言い方が有るんじゃないかな?」
「似た様なもんでしょ」
……うん、まぁあんまり否定は出来ないかもしれない。
「で、妖精さん達ってふわふわ飛んでるみたいに見えるけど、体感速度は凄そうだって事におばかさんが気付いちゃってねぇ」
「あぁ……」
確かにその通りではあるけどね。
普通の人が歩くのについて行くだけでも、こっちにしてみれば車に乗って移動してる様なスピードだし。
「一緒にやってたのにいきなり抜けるって言われてもって止めて、それはそうだけどーって言ってたところに妖精さんが通った訳だね」
「なるほど」
それでお互いに困った様な顔だったのか。
いや、兎さんの方は困ってるって言っていいのか微妙だけど。
無駄に困らせてる側だし。
「でもまぁなんだかんだ言っても結局これって娯楽な訳だし、やりたい事をやるってのも間違いじゃないからねぇ」
「そうなんだよねー」
まぁそれは確かに。
というかそっちの二人の意見、別に絶対やめてくれって感じではないんだな。
エリちゃんの例も有るから、言っても聞かないって思われてる可能性も無くはないけど。
「ん?」
ん?
兎さんの視線が私の後ろに……
あぁ、カトリーヌさんが小さく挙手してるのか。
「よろしければですが、一度皆様で体感してみてはどうでしょうか」
「え、良いの!?」
「んん? ……あぁ、覚えてたんだ」
「はい」
縮めるの私じゃない?って思ったら【神隠し】のパネル持ってた。
いちいち確認してないけど、カトリーヌさんもどんどん覚えていってるんだな。
当たり前か。
「何だって?」
「試しにみんなで小さくなって飛んでみる?って」
「いや私たちはやらなくて良いでしょ」
うん。
なんでカトリーヌさん、「皆様で」って提案したんだ。
「あ、でもせっかくなら私はやってみたいかも」
「えぇ…… まぁそういうなら……」
あ、付き合うんだ。
あんまり流され過ぎると酷い目に遭う事が有るから、気を付けた方が良いと思うよ。
色んな意味で酷い目に。
いや、それは【妖精】だけか。
というかカトリーヌさん、なんで推奨する様な方針なんだろう。
いや、小さい視点だと色々困ったり怖かったりするのも体感してみたらって事か?
「ぴっ」
「あ、うん」
目隠しした方が良いよねっていう確認の鳴き声が。
羽の先でもそもそするのも慣れたもんだな。




