1332:救助要請は無視しよう。
さて、意外過ぎる用件を済ませたのは良いけど……
「んー、まだ早いよねぇ」
「ですわねぇ」
別に時間がかかる用事でもなかったから、当たり前と言えば当たり前なんだけど。
「まぁ気分の問題でしかないし、のんびり向かえば良いか」
「はい」
無理にやる事を探さなくても、ぷらぷらしてれば何か見つかるかもしれないし。
……さっきみたいな事ばっかりじゃなきゃ嬉しいんだけどね。
……ん?
なんか上から……
「ってぇぇっ!?」
「おや」
ずずーって感じの音が聞こえた様な気がして見上げたら、役場の屋根から何かが降ってきて植え込みに埋まった。
私から見ると何でもデカいから、結構離れてるけどぶつかりそうに錯覚してちょっと焦ったよ。
まぁ横にぴーちゃんが居るんだし、潰される場所だったら押したりして助けてくれてただろうけど。
っていうか今の……
「いたい」
うん、やっぱりサフィさんだな。
二階の屋根からまっすぐ落ちてきて植え込みに刺さったのに「いたい」で済むあたり、やっぱりこの人も超人だな。
ろくに受け身も取ってなかっただろうに。
「えーと……」
「おはよう」
「あ、はい、おはようございます」
時刻的にはこんにちはって感じだけどね。
「サボってない」
「はぁ」
なるほど、サボって屋根の上でお昼寝してたら落ちたって事か。
ジョージさん居なくて良かったね。
「んげっ」
「あ」
急に絞められた様な声を出すから何かと思ったら、サフィさんの頭の上に男の人のものっぽい手だけが現れて、掴んでギリギリ締め付けてる。
まぁうん、ジョージさん居なくても他の隠密さんは居るもんね。
あ、すーっと出てきた。
かなり大きいし体格も良いけど、穏やかそうな顔をした牛の人だ。
同じスケールだったとしても、私より十センチくらい高いんじゃなかろうか。
「お初にお目にかかります。私、庭師のエリクと申します」
「あ、どうも。【妖精】の白雪です」
「同じく【妖精】のカトリーヌですわ」
右手で万力みたいにサフィさんを締め上げつつ丁寧に挨拶されたので、知ってるだろうけどこっちもちゃんと名乗っておこう。
って、隠密さんじゃなくて庭師さんなのか。
その割には全く存在を感知できなかったけど、まぁよく有る事か。
「たすけてー」
なんかちょっと足が浮き始めてるサフィさんが、わちゃわちゃうねうねしながら助けを求めてきた。
多分それ、余計に痛くなるだけだと思うよ。
「いや、よく解んないけどどうせ自業自得ですよね」
庭師の人が出てくるって事は、そこの植え込みを破壊した件だろうし。
どう考えても無駄な被害なんだから、そりゃ怒るよね。
いや、まぁ植え込みの件じゃなくてサボってた方だとしても、どっちにしろ同じ事なんだけど。




