1314:謎の部位を調べてもらおう。
まぁいくら相手がカトリーヌさんでしかも事故みたいなものとはいえ、一応加害者だし放っとく訳にもいかないだろう。
「大丈夫?」
「えぇ、平気ですわ」
うん、ちょっと喋りづらいけど一応喋れるな。
「なんかごめんね」
「いえ。白雪さんの意図した事ではありませんし、作動させたのは私ですので」
それはそうかもしれないけど、私のせいじゃないとは言い難いからなぁ。
提案したのはカトリーヌさんだけど、私もそれじゃ見てくれって言ったんだしさ。
「少々調べさせていただいてもよろしいですか?」
「あ、うん」
飛び出してるからもう自分でも見られはするけど、何が有るか判んないし大人しくしておこう。
私の舌から飛び出した変な管を持って、ふむふむと観察するカトリーヌさん。
特に神経とかは通ってないらしく、髪の毛みたいに根元に触れられた感触が来る感じだな。
「先端は注射針の様になっている様ですわね」
「あー、それでちょっと刺さったんだ」
ふにふに動かしてみてるのを見せてもらうと、筒を斜めに切ったみたいに尖っていて、真ん中に小さな穴が開いていた。
他の部分は柔らかいけど、先端の尖ってるあたりだけはかなり硬いらしい。
「当たったのが額で良かったなぁ……」
「残念です」
硬い所に当たったからそこで止まってくれたけど、眼とかに当たってたらかなりマズい事になってたよ。
あといつも通り、カトリーヌさんの言葉は無視しておこう。
「やはり、中々に鋭い様ですわ」
「あんまり人の身体を自分にプスプス刺さないでほしいなぁ……」
調べてもらってる以上、あんまり強くは言えないんだけどさ。
他にも調べ方は有るでしょ。
でもちょっと気になるし、自分でも触ってみよう。
刺さらない程度に。
「ちょっと良いかな?」
「はい、どうぞ」
「ん……? あれ、そんなに刺さらない?」
「おや?」
確かに尖ってはいるんだけど、カトリーヌさんがやってるほど簡単に刺さってこない。
軽く押さえるとチクッとはするから、刺さらない訳ではなさそうだけど。
「自分には刺さらない……というか、刺さり辛いという事でしょうか」
「かな?」
よく解んないけど。
「……少し思いついたのですが、試させていただいても?」
「何をするかによるかな……」
レティさんとかなら素直にはいって言えるんだけど、カトリーヌさんはあんまり油断できないからなぁ。
普段通りの口調でいきなり暴走したりするし。
「試しにこちらに刺してみようかと思いまして」
「ん? え、石? まぁそれなら別に良いけど……」
なんで石?
まぁ今魔法で出したばっかりの物だし、汚くはないだろうから構わないけどさ。
あ、魔力を抜いて普通の石にした。
「ふむ」
「えぇ……?」
カトリーヌさんが摘まんだ針を石に当てると、抵抗を感じない動きでするっと石に入っていってしまった。
「なにこれ、もしかして魔法攻撃みたいな扱いなの?」
「その様ですわね。白雪さんの方が魔法への抵抗が高いので、刺さり辛いという事なのでしょう」
「あー……」
さっきのも、こっちの方が若干全体的にレベルが高いから攻撃が通っちゃった感じなのかな。
逆だったらスコーンってのけ反るくらいで済んでたのかも。
「それと、先ほどから少し気になっていたのですが」
「ん?」
「どうやらまだ伸びる余地が有る様なのですが、試しに引いてみても?」
「えー……」
でも言われてみれば確かに、最初に出た時よりもちょっと長くなってる気がする。
「んー…… まぁちょっと気にはなるし、ゆっくりやって…… ってちょっと待って」
「はい?」
「いや、その前に…… あ、うん、良いよ」
「……確かに重要な問題ですわね」
うん、びろびろ伸ばしたは良いけどそのまま戻らないなんて事になったら嫌だからね。
舌の周辺を探り探りな感じで動かしてみたら、付け根の辺りに力を入れる事でするするっと引き戻すことができた。
あの管がどこに入ってるんだろうとかは気にするだけ無駄だと思うから、放っておく事にする。




