1310:要望に応えよう。
職員さん達に注目されてるのは気にしない事にして、確認作業に戻るとしよう。
……うん、二階の人と一瞬目が合ったけど、気にしない気にしない。
足下に気を付けつつ、じわじわ拡大っと。
ぬ、役場の屋根が見えてきた。
「このままだと外から見えちゃいそうなんで、ちょっと座りますね」
「はい。少々お待ちください…… どうぞ」
足下のライサさんに端に寄ってもらって、地面から少し浮いた状態で体育座りの姿勢に。
……一応、出来る限りは隠しておこう。
あんまり意味無い気もするけど。
更にじわじわと大きくなっていってるけど、一向に限界が見えてこない。
これ、無制限に大きくなれるとかいうオチは無いだろうな?
「これは興味本位なのですが、少し触れてみていただいてもよろしいですか?」
「あ、はい」
こっちから触る分には気を付ければ問題は無いので、差し出されたライサさんのおでこを人差し指でふにふにと押してみる。
もうかなり大きくなってるから、指一本が腕と同じかそれ以上の太さになってるな。
ライサさんが三十センチも無いくらいに見えてるし、大体六倍くらいかな?
「……我慢してくださいね?」
指に抱き着きたそうに両手を広げてプルプルしてるライサさんに、一応の釘を刺しておく。
そんな事されたら、へし折れるとかじゃなくて触った所からふわっと消し飛んじゃうだろうからね。
元の大きさの六十倍って考えると、三千六百の更に六十で…… 【妖精】同士の二十万倍以上の力か。
触るどころかパタパタ扇がれただけで跡形もなく消えそうだな……
普通の風は【浮遊】のおかげで何ともないけど、人が意識して起こした風だと「私を対象にした攻撃」って判断されそうだもんなぁ。
そんな事になる前に、さっさと指を引っ込めておこう。
触れた状態であんまりプルプルされ続けるのも、なんかそのうち指が崩壊したりしそうで怖いし。
「ありがとうございました」
「えーと…… それじゃ、続けていきますね」
そんな九十度のお辞儀をされても、こっちは反応に困るんだってば。
もうちょっと軽いノリで言ってほしいよ。
というかさ。
これライサさん、また後で同僚のお姉様がたにズルいぞってシメられちゃう案件じゃないの?
皆してぐぬぬって顔してるけど。
……まぁうん、そこも気にしないでおこう。
私は頼まれたからやったってだけの事だし。
あとなんか怖いし。




