1309:見えちゃうのは諦めよう。
「まぁあの人は放っとくとして、ここが限界みたいですね」
「素晴らしいですね」
ここにも放っときたい人が居たよ。
いや、元からそういう人だけど。
【妖精】ってだけでも良いけど、やっぱり小さい方が相乗効果でより良いって感じなんだろうな。
とりあえず元に…… というか人間サイズに戻って、と。
はいはい、残念そうな顔しないでくださいね。
「ありがとうございます。……逆はどうなのでしょう」
「あ、そうですね」
弱められるんだったら強める事も出来るよね。多分だけど。
強めたら強めただけ食らい判定が大きくなるわ柔らかくなるわで、結果的に弱くなるだけな気もするけど。
それじゃ魔力を巡らせて、と。
「お、出来るみたいですね」
試しにちょっと念じてみたら、するっと一割ほど大きくなったっぽい。
……ただでさえデカいんだから、一割増えただけでも二メートル超えちゃうんだよなぁ……
しかも宙に浮いてるから余計に視点が高いし。
「ふむふむ」
「いや、危ないからね?」
「ぴゃーぃ」
またしてもこっそり足下に来てたカトリーヌさんが、今度は逆方向からのドロップキックでシェラの方に連れていかれた。
うん、パスされたシェラがきっちり拘束してくれてるから安心だな。
カトリーヌさん、あれはあれで嬉しそうだし。
「とりあえず、出来るとこまでやってみますね」
「はい。よろしくお願いします」
さて、それじゃもっと大きくなーれ、と。
……おー、周りがどんどん小さくなっていく。
浮いてる高さを調整して、地面に足が付かない様に気を付けないとだな。
簡単に折れそうだし。
んー、今は丁度二倍くらいなのかな?
元々デカいのとちょっと浮いてるので、もう二階の窓から普通に中が見られちゃうな。
……というかね。
これって普通の服装というかスカートとかだったら、身長差のせいで普通に見えちゃってヤバそうだよね。
いや、まぁ元々空中に居るんだから、大差無いと言えば無いんだけど。
そもそも今も、中に着てるのが【妖精】の普段着なんだから見えても問題無いって開き直ってるだけで、一応そういう服装ではあるしね。
ライサさんの位置からだと多分普通に見えてるだろうけど、頑張って気にしない事にしておこう。
「脚が長いというのは、実に素晴らしいですね」
「いや、元がデカいからってだけなんですけどね」
確かに長さで言えば他の人より長めだろうけど、比率で言ったらそうでもないと思うんだ。
あとそういう言い方されたら隠したくなるから勘弁してほしい。
単純に褒めてるみたいな顔してても、割とギリギリな発言だぞ。
そういえば、声は抑えめにした方が良さそうだな。
大きくなった分だけ、普段とは逆にこっちの声が大きくなってるっぽいし。
というか、普通に喋る音量を出せてるのがちょっと奇妙ではあるな。
どう考えても、あれだけの音が出るほどの空気を動かす筋力は無いだろうに。
というか動かしたら動かしたで、声帯とかいろいろな所が壊れそうだし。
ついでに逆に、鼓膜の方もか。
まぁその辺は魔法による謎の補助が入る範囲なんだろうな。
アヤメさん達も、固まったり潰れたりしたまま喋ってたしね。
「それじゃ続きを……って、何をみんなで見てるんですか」
ふと下を見てみたら、職員さん達に普段以上に窓から見られてた。
いや、そんな仕事はちゃんとやってますみたいなアピールされても。
サボるなとかそういう事を言ってるんじゃなくてさ。
……まぁうん、これも諦めよう。
【妖精】をやってる以上、注目されるのからは逃れられないんだ。
一種の人気商売だと考えるしかないんだろう。




