1280:洞窟探検に赴こう。
よし、召喚と挨拶も済んだし今度こそ合流するか。
あんまり放っといたら、そのうちお姉ちゃんが調子に乗って噛まれそうだしね。
「おいすー」
「……おはよー」
妙に軽いセリフと共にピシッと敬礼されても反応に困る。
言葉も丁寧にされたら余計に困るから、戸惑ってるのは主に敬礼の方にだけど。
「おー、おはよう。ん、こっち来るのか?」
ん?
あぁ、ラキがアヤメさんに絡んでるのか。
「ほれ……ってそこなのか」
乗りなよって頭を出したら耳の先っちょにぴょこっとくっつかれてる。
まぁ一緒に差し出されてはいるし、間違いではないか。
「さてさて、今日は何食べる?」
「んー、特に希望は無いな」
「私もですね。今日も現地でといったところでしょうか」
「そだね。それじゃ、そろそろ出ようか」
「撫でながら言ってないで立てよ」
うん、一番動き出す気が無さそうなのがお姉ちゃんだよね。
いつまでシェラと遊んでるんだ。
「んぉっ!?」
「え、なにアヤメちゃんいきなりどしたの」
なんかアヤメさんがビクッとして変な声出したから、お姉ちゃんが驚いて立つわシェラがそれに驚いてバックステップするわ。
この分だと布の中のクリスも怖がって抱き着いてそうだな。
「待て待て待て、どこ入ってるんだおい」
なんか側頭部というか、ウサ耳の根本辺りを指でトントンしてる。
「……あー、ラキちゃん?」
……そういえばさっきウサ耳の先に居たラキが見当たらないな。
何をやってるんだあの子は。
「こら、あんまりもぞもぞするな」
あ、なんか穴の奥からチラッと顔が見えた。
中でごそごそと向きを変えてたのか。
「よく有る事とは言いませんが、稀に寝ている間などに小型のクモに侵入され、そのまま定住されてしまうケースが有るらしいですね」
「今そういう豆知識は要らないんだよ」
耳の中がむずむずするけど指を突っ込む訳にもいかずに、指で頭を押さえてむにむにして誤魔化してる。
【妖精】ほどじゃないとはいえ、迂闊に触ったら潰しちゃうのはラキも同じだからなぁ。
「まぁ温かそうではあるよね」
「そうですね」
「しょうもない事言ってないで助けてくれよ……」
おーい出てこーいと頭を傾けて揺らしてみても、ラキは中でしっかり足場を確保してるらしくてぜんぜん落ちてこない。
「っていうか白雪、見てないで止めとけって言ってくれよ」
「あ、ごめん」
うん、私がやめようねって言えば済む話だった。
でもなんかこう、止めるタイミングとかラインとか、いろいろ難しいよね。




