1278:羽織って隠そう。
摘まんだクリスを布の上に戻してシェラにそっと近づけると、スルスルと乗り移って背中からきゅっと抱き着いた。
……あれは仲が良いからなのかあの位置なら前から見えないからなのか、判断に迷うところだな。
あ、余ってた……って言うとなんか違う気がするけど、後ろに乗り切らなかった胴体を器用にお腹に巻き付かせていってる。
シェラが大きめとは言っても私に比べればってだけだし、ある程度ぐるぐる巻きになるのは仕方ないとはいえ、あれは歩きづらくないのかな?
あ、ちょっと動いて確かめてる。
うん、大丈夫っぽいな。
乗れたと判断したらしいシルクが後ろからモフっと布をかぶせて、動いても簡単には外れない様にマントみたいに留めてあげてる。
後ろがずれたら意味が無いから、お腹の下とお尻側もちょいちょいと細工してるな。
……なんというか、ただの白い布だからシーツかぶって遊んでるみたいにも見える。
しかも微妙に緑色が透けてるし。
まぁうん、クリスは落ち着いてるみたいだしこれで良いんだろう。
「うん、また遊ぼうねー」
「……遊んでたの?」
笑顔でぶんぶん手を振るシェラに、めーちゃんも微妙に枝を揺らしてお返事してる。
のは置いといて、あれは遊びって言うんだろうか。
くっついて丸まってただけな気がするんだけど。
お姉ちゃん達が待ってるテーブルに向かって、とっとこ走って戻るシェラ。
あ、お姉ちゃんがしゃがんで迎えてる。
「おはよー」
「また噛まれんなよ?」
「大丈夫だよぅ」
うん、流石のお姉ちゃんもめくって挨拶まではしないだろうしね。
がぶーっといかれるのが目に見えてるし。
「抱っこも止めといた方が良いよね」
「そりゃそうだろ」
よしよしとシェラの頭を指で撫でながら、聞く必要が無さそうな事を呟くお姉ちゃん。
「あっ、あー……」
「ん?」
なんだその残念そうな声は。
「クリスちゃんがちょっとだけ顔を見せてくれたんだけど、私の声にびっくりして戻っちゃった」
「あー」
まぁうん、警戒はしてるけど嫌われてるって程じゃないだろうしね。
勇気を出してはみたものの、ちょっと足りなかったらしいな。
「ちろちろって舌出してくれたし、挨拶してくれたって思っておこー」
「挨拶はともかく舌は関係ないんじゃないかな」
さっきもちょいちょい出してたし、多分ただの癖というか習性でしょうに。
無駄にポジティブだな。
まぁなんでも悪い方に解釈しちゃうよりは精神的に良さそうだし、それ自体は悪い事じゃ無いとは思うけど。
それを起点に暴走さえしなければね。




