1254:からかわれたらやり返そう。
「しかしこれ、両方置いてあっても狭いだけだろうし、片方は出しておこうか?」
「いや、別に良いよ。どうせこのままログアウトするだけで、この中に引っ越してくる訳じゃないんだから」
「それもそうか」
そこに住む訳でもなければ、これから毎晩使う訳でもないもんね。
用が有るのは詰められた綿だけだ。
「まぁうん、とりあえずは解った」
よく解らないことが解ったとも言うけど、それは置いといて天井代わりの布を元に戻しておく。
「よし、それじゃ降ろしてくれ」
そーっと下げられたシルクの手から机に降りて、ありがとなと指先をぽんぽん撫でるアヤメさん。
一緒に降りたラキが横で「私はー?」みたいな顔して、ついでに……じゃないけど構ってもらってるな。
「さて…… ん、一緒に来るのか?」
お部屋に向かったアヤメさんの後ろをラキがついていこうとして、不思議そうな顔をされている。
「いや、私は別に良いんだけどさ。シルクについていった方が良いんじゃないのか?」
「ん?」
この後、まだ何か有ったっけ?
私ももう休むだけの筈だけど。
「ん? いや、風呂の片付けはするんだろ?」
「あ、うん。……あぁ」
なるほど。
一緒に行かないと、【妖精】が入ってたお茶を飲み損ねるぞって事ね。
コレットさんが片付けてくれてたけど、この家とセットで貰ったカップの分はそのまま残してあるだろうし、そっちはシルクに片付けてもらわないといけないんだった。
残ってるから片付けないといけないというか、片付けさせてあげるために残してくれてるんだけど。
一旦お布団に沈められてから、シルクが片付け終わって戻ってくるまでぼーっとしてる必要が有るんだな。
いや、別に朝になってからでも良いんだけど。
まぁもうラキがシルクの肩に登っちゃってるし、待つ方向でいくとしよう。
「ってかさ」
「ん?」
「別にこっちが入るまで見届けてくれなくて良いんだけど」
「あ、うん」
こっちもさっさと寝ろって話だよね。
なんか流れに任せて、ぼーっと眺めちゃってたよ。
「あ、そうだ」
「ん?」
追い払われたと思ったら呼び止められた。
「朝起きて、寝ぼけて私ごと履いたりしないでくれよ?」
「……ネタ振りって事で良いのかな?」
「冗談だよ」
あんまり人をからかうと、危険が無いんだから本当にやっちゃうぞ?
中敷きにされたくないなら大人しくログアウトしてよね。
というかそもそも【妖精】の身体だと、靴を履くって習慣が無いって言ったじゃないの。




