1253:諦めて受け入れよう。
しかしこれ、なんか履いててもポロッて落ちそうな見た目だよなぁ。
材質が木だけっぽいし、パンプスだから爪先と踵の部分しか支える所は無いし。
いや、後ろは支えるって言うほど引っかかりは無いし、実質前だけか。
でも木の靴って割と普通に有る物っぽいし、そうでもないのかな?
あ、そうか。
現実ならどうか解らないけど、こっちなら……というか【妖精】なら、隙間に魔力を詰めちゃえば問題無く固定できるんだな。
それを考慮して作ってるのかは知らないけど。
いや、でも履いて動く物なんだし、中で完全に固定されてたら足に良くなかったりするのかな?
流石にそんな事をした経験は無いから、よく解らないな。
あ、履いてても【妖精】はどうせ歩かないんだから、足に良いも悪いも無いのか。
そもそもあの人達の事だから、謎の技術で私の素足にぴったりフィットする様に作ってそうだし、その必要すら無いかもしれないけど。
……ん?
よく考えたら地面に立たないんだから、あの高いヒールの意味は無いんじゃないのか?
いや、それを言ったら靴自体がって話になるんだけどさ。
【妖精】にとっては靴なんて装飾品みたいな物だろうし、意味とかを考える必要はあんまり無いのかな。
まぁうん、靴自体の事は置いておこう。
今の本題はそこじゃないし。
「多分……というか十中八九、アリア様の案なんだろうな……」
「まぁそうだろうねぇ……」
コレットさんは意外な面も多いけど、それでもこういう悪戯はしなさそうな人だしね。
……いや、まぁ無くはないかもしれないけど。
「ご丁寧に踏み台まで用意してくれてるな」
「あ、ほんとだ」
確かに今のサイズだと、登れはするけど普通のベッドに座るほど気軽にって訳にはいかないだろうな。
一番低くなってる爪先の部分でも、普通に腰より上の高さは有るだろうし。
「……まぁどうかとは思うけど、使わざるを得ないか」
「タオルとかで普通のを作っても良いけど」
「いや、一応用意してもらった物だしな…… 見なよあの置いてある布。あんなサイズとはいえ、どう見ても最高級品だぞ」
「……うわ、ほんとだ」
小さ過ぎるアヤメさんから見れば流石に荒いだろうけど、私の服の素材並みに目が細かそうな素材が、こんな所で無駄遣いされてる。
まぁ人間から見れば一センチ角程度の品だし、余り物なのかもしれないけどさ。
……もしかして、私の服を作った布の切れ端とかなんだろうか。
まぁそこは解らないし、気にしないでおこう。
そうだとしてもなんだって話だし。
「にしてもアヤメさん、そのへん律儀だよね」
「仕方ないだろ。……というか、それをあんたが言うか」
……いやうん、そうかもしれないけどさ。
「それにまぁ、普段使いの物を出されたならともかく、これは新品みたいだしな」
「【妖精】……というか私が靴を履かないから、お蔵入りになってたっぽいね」
「……いや、『あんたの』靴だって改めて意識させなくて良いんだよ」
「……ごめん」
うん、変な形のベッドくらいの認識で流した方が良いよね。
ペット用品とかなら、スリッパ型とかスニーカー型のベッドとかも見かけるし。
いや、別にペット扱いではないけどさ。




