1230:可能な限り下に潜り込んでいこう。
あ、うん、これ素直に気持ち良いな。
ちょっとくすぐったくはあるけど、まぁ気にするほどじゃないし。
……カトリーヌさんがなんか参加したそうな顔してるけど、大人しく温まっててね。
しかし三人で仲良く遊んでるのは良いけど、ぴーちゃんももうちょっとお湯に入った方が良いんじゃなかろうか。
とは言っても実際スペースは無いし、今すぐ改造出来る訳でもないしなぁ。
ってそういえば、一人分の湯船とお湯くらいなら、魔法でどうにでも
「お任せください」
「え、あ、うん」
なるよねって思った瞬間にカトリーヌさんがざばっと動き出した。
何あの人、私の頭の中を観察でもしてるの?
まぁ今シルクに揉まれてる最中だし、助かりはするけどさ。
なんか足を一通り揉んだと思ったら、今度は足首とふくらはぎに移行してきたし。
「ぴーちゃん様」
「ぴゃ?」
ぴーちゃんに声をかけて少し動いてもらい、【魔力武具】で湯船を作ってどばーっと注水。
あ、横からそーっと羽を出して温度チェックしてる。
「いえいえ、お気になさらず。どうか私の事は備品や下僕の様なものだとお思いくださいな」
クリスの「私のせいでごめんなさい、本当にありがとうございますぅ……」みたいな気弱過ぎるお辞儀に、笑顔で返すカトリーヌさん。
ただでさえどうかと思うコメントだけど、クリスには余計に無理だと思うよ。
「そ、そんなの、無理ですよぅ……」って顔でぷるぷる首振ってるし。
「あんまり困らせないであげてね?」
「その様な意図は無いのですが……」
いや、実際困ってるから仕方ないじゃない。
クリスちゃん、めっちゃうんうん頷いてるよ。
「では少々位を上げさせていただいて、召使いとでも思っていただければ幸いですわ」
「確かに言い方はまとも寄りにはなってるけど、そういう問題じゃないんだよなぁ……」
クリスは【妖精】を下に置く態度なんて無理ですって言ってるんだと思うよ。
まぁ召喚獣的にはそれが当たり前で、ラキみたいに遠慮が無い方が珍しいのかもしれないけど。
というかラキが元気過ぎるのも、こっちが好きにして良いって言うからだろうしね。
……はしゃぎ過ぎてシルクに叱られたりはしてるけど、まぁそれは置いておこう。
「難しいものですわね……」
「いやうん、正直に言わせてもらうとカトリーヌさんの扱いが一番難しいと思うよ」
「申し訳ありません」
「褒めてないからね?」
なに照れた様な笑顔になってるんだ。
だから難しいって言ってるんだよ。
普通ならそんな風に思ってたのかとかってムッとするセリフだよ、今の。
いや、まぁそういう反応をしない人だからこっちも正面から言ったんだけどさ。
まぁ割と普段から態度に出しちゃってるから、今更って気もするけどね。
むしろ面倒臭い奴だって目で見られるのすら悦んでるくらいだし。
だからこそ無敵過ぎて扱いに困るんだけど。
ほんと普通にしてたら有能な善人なんだから、ずっと普通にしててくれれば助かるんだけどね。
まぁそういう人だったら【妖精】になってここに来たりせずに、まともな種族でまともに表で冒険してるだろうから、あんまり私と関わる事は無さそうだけど。




