1219:石を焼こう。
三人が一旦シルクの手に登って、桶のお湯を入れ替えてからもう一度体を流してる。
まぁシルクの口から出た石鹸もそのままお湯に入ってたし、一応そうしておいた方が良いのか。
ん?
なんか横から軽い熱気と魔力の気配が。
「って、いきなり何してんの……?」
気になって振り向いてみたら、カトリーヌさんが手に持ったソフトボールくらいの石を、魔法で出した火の玉で炙ってた。
魔法でやってるとはいえ焼いてるのが【妖精】なんだし、どう考えても熱いでしょあれ。
いや、望むところというかわざとなんだろうけど。
あの石どこから……ってそっちも魔法か。
「軽く炙った石を入れる事で、お茶を温め直そうかと思いまして」
「あー…… そっちのは普通のカップだからか」
そういえばそっちや他のお茶も冷めてて当然だったな。
だからってもうちょっとやりようが有る気もするんだけど。
でもアリア様が使ってる様な良い茶器を直接火で炙ったりする訳にもいかないから、手段は割と限られるか。
良い物とか言う以前に人の物だし。
「では、まずはこちらから済ませてしまいますわ」
「うむ、助かる」
あ、全部やるつもりなんだ。
「温めるのはそのカップだけで良いぞ。この大きさであれば一つ有れば十分だからな」
「かしこまりました」
まぁうん、十分過ぎるくらいに広くはあるだろうな。
三人どころか三十人いたって広々だよ。
おお、ぼこぼこいって……ってなんでそんなのを素手で持てるんだ、あの人は。
……あの人だからで終わる話だな。うん。
「ちょっと温め過ぎてない?」
「いえ、かき混ぜればこの位で丁度良くなる筈ですわ」
「あ、そうか」
見た目のインパクトでつい口を挟んだけど、温まってるのは石の周りだけだし全体で見ればそうでもないのか。
というかそもそも、別に沸騰寸前のお湯でもあの身体なら問題は無いんだったな。
自分のカップも温め直したカトリーヌさんが、石を持ったまま壁の方へ飛んでいった。
あ、置いた。
「再利用もできますし、隅に置いておきますわね」
「あー、うん」
……うん、再利用するにもあの人以外が使える様に、シルクに何か道具を作ってもらわないとだな。
というかそもそも、準備したらさっさと入れって話な気もするけど。




