1202:更につっつかれよう。
「しかし先ほどから思っていたのだが」
なんか背中を……というか翅の間をむにむに揉まれてる。
まぁ揉むって言っても小さ過ぎて力が足りないから、実際は皮膚の表面をふにふに触られてるだけっぽいけど。
「良く締まった良い筋肉をしている様だな」
「飛んでる間、ほぼ常時動かしてるからですかね」
「そんなとこ褒められても、喜んで良いのかよく解んないですよ……」
良い筋肉してるねって言われて素直に喜ぶ女の子って、少なくとも多数派ではないと思うんだ。
いや、運動部とかだとどうなんだろう。
友達居ないから解んないな。
でもまぁ多分一般的ではないよね?
「という訳で、コレットの出番だな」
「どういう訳です?」
多分聞いても理解できないだろうけど、一応聞いておいた方が良いだろう。
というかまだお風呂行かないの?
「常に動かしているという事は疲れも溜まろうというものだ」
「いやー、そうでも」
「いうものだ」
「あ、はい」
いや、まぁそりゃゼロではないけどさ。
元々動かし続ける物なんだから、問題無い程度なんですよ。
「そこで…… ラキ、このくらいの鉄を持ってきてくれるか?」
「……鉄?」
「魔力の鍼では【妖精】には刺さらんからな」
「……コレットさんってそういう治療も出来るんですね」
「まぁ驚きはしないな……」
うん。
逆に何かが出来ないって言われた時の方が驚けると思う。
「でもそれ、結構時間かかるんじゃないですか?」
「む、確かに。済まないな」
あ、そうなんだ。
よく知らないけど、まぁ確かに刺してしばらく転がってそうなイメージは有るな。
っていうかラキ、もう取って来てたのか。
よく丁度良いのがすぐに見つかったな。
「では、すぐに出来る事を試してみましょう」
「うむ。アヤメ、転ばぬように気を付けるのだぞ」
「あー、はい。膝でもついておくか」
「……何されるんです?」
「なに、危害を加える訳ではないから心配は要らん」
いや、それは解ってるんですけどね?
出来ればやる前に教えてほしいんだよ。
「白雪様」
「はい?」
「適度に息を吸い、そのまま暫く呼吸を止めていていただけますか?」
「あ、はい」
まぁ諦めて大人しく従うとしようか。
さっきからずっとそんな感じだけど。
「では…… ふっ!」
「んっ!?」
吸ってた息がコレットさんの踏み込みの衝撃でちょっと漏れかけた。
なるほど、震脚マッサージ…… いやなるほどではないな。なにそれ。
それにしても、この体格差で衝撃を与えてくるって相変わらず凄まじいな……
もうちょっと大きければ、骨の一本くらい普通に持って行かれるんじゃなかろうか。
しかしなんというか……
うん、なんか素直に気持ち良いぞこれ。
なんか謎のツボでも突かれてるのかってくらい、翅周りの筋肉が柔らかくなってる気がする。
まぁ一歩ごとに息が漏れそうになるから、完全にリラックスは出来ないんだけど。
漏れた息で変な音とか出したら恥ずかしいし。
んぁー……
これ続けられたらこのまま寝ちゃいそうだな……
って、なんか顔の下のアームレストにラキが跳び込んできた。
どこから渡って…… ってまぁクモだし、布張りの天井くらい走ってこれるか。
はいはい、お手伝い頑張って偉いね。
あんまり動いたら背中の三人に迷惑だから、指だけ動かしてなでなでしてあげよう。
……というかこれ、穴から顔の一部だけ覗かせてるのを下から見られるって、なんかちょっと恥ずかしいな。




