1201:拭き終わろう。
「よし、と」
あ、終わったかな?
と思わせて……の方かな?
「流石にキリがなくないですか?」
「ふむ。まぁその通りだな」
……根元の外側まで拭き始めた所で流石にアヤメさんが止めてくれた。
まぁやり続けてたらいつまで経っても休めないしね。
「んっ……と」
背中にラキが急に飛び乗ってきて、くすぐったさで動きそうになってしまった。
足が尖り気味だから、急に来られるとちょっとチクってするんだよね。
「うむ、受け取るが良い」
「ほい」
あ、タオルの回収しに来たのね。
コレットさんの方にも元気に走って行ってるし。
「あぁ、そういや自分の糸は食べられるんだったか」
「役得と言ったところだな」
……なるほど、こっちは拭けるしあっちは美味しくなるしで一石二鳥ってわけか。
変な所で賢いな、あの子。
「さて、こうして綺麗になった訳だが」
「はぁ、そうですね」
「改めて見ると、実に美しい翅だな」
「まぁ確かに。虫っぽいですけど」
なんか褒められてる。
アヤメさんは一言多い気がするけど、まぁ事実だから仕方ないな。
「ふむ、ふむ」
「これ硬いんだか柔らかいんだか、よく解らないな……」
二人していじくりまわさないでほしいんだけど、まぁこれも諦めよう。
ちょっとくすぐったいだけで、特に害が有るわけじゃないし。
元のサイズだと触るだけで壊れかねないから、迂闊に観察もできないしね。
いや、まぁ見るのは別に【妖精】と同じサイズの時でも良いじゃんとは思うけど。
「ところでこうして綺麗になった訳だが」
「ん?」
二回目?
「どうせこの後に風呂に行くのだから、あまり意味は無かったのだ」
「まぁそうですよね」
……そういえばそうだよ。
じゃあなんでわざわざ……ってやりたかっただけか。
うん、いつもの事だな。




