1197:おかしな案を思いつかれよう。
「では、アヤメはそちらを頼むぞ」
「あー、はい。まぁ諦めるんだな」
「元から選択肢は無い様なものだけどね……」
ここまで来てやだーって言ってもしょうがないでしょ。
大分早い段階で諦めてたよ。
「いや、そうでもないだろ。本気で嫌がってたら止めてるし」
「うむ」
「精神的な逃げ道まで潰さないでくれる?」
「お互い様だろ」
「むぅ」
いやうん、まぁそうかもしれない。
アヤメさんもなんだかんだで付き合ってるよねって思ってるし。
「まぁそれは置いといて、とりあえず力は抜いててくれ」
「努力はするけどさ……」
どうなるか解ってる分さっきよりはマシだろうけど、くすぐったい事には変わりないからなぁ。
我慢してぷるぷるするのも迷惑だろうから、結構難易度が高いんだよ。
ん?
なんか翅に何か……って、これ多分コレットさんが翅の表面をお掃除してくれてるんだな。
一人だけ付け根じゃないところに立ってるし。
これ、別に丁寧にそーっと取ってるって訳でもなさそうだなぁ。
いや丁寧には違いないんだろうけど、普通に触ってるというか。
まぁ考えてみれば、翅に乗られたとしても問題無く動かせる様な軽さなんだし、手で触るくらいなら何も気にしなくても大丈夫なのか。
「ん、おぉぉ……」
「締めるなよ?」
「いや、そう言われても…… というかゆっくり来るのもこれはこれで……」
アヤメさんが丁寧にやってくれてるのは解るんだけど、じわじわ来るのも辛いものが有る。
背中に力を入れない様にするのが難しいよ。
「ふむ、中々深いな」
「アリア様は何やってんですか……」
「ほんのりと温かく、実に気持ち良いぞ」
「感想を聞きたい訳じゃないんですよ」
私はなに隙間の奥の方まで手を突っ込んでるんだって言ってんですよ。
うむ!って顔で言われても困るんですよ。顔見えないけど。
「……まぁ確かに」
「アヤメさんまでやらなくて良いから」
「ふむ、これは……」
「一応聞きますけど、何ですか?」
「更に小さくなり、ここに収まって寝るというのも気持ち良さそうだ」
「いやいや……」
だから何を言ってるんだ、このお姫様は。
「というかそれ、顔以外ぺったんこですよ」
意識的に緩めてればそこまで小さくてもこじ開けて潜り込めるかもしれないけど、ずっとそのままで居る訳にもいかないし。
というかいくら緩めようとしてても翅を動かしたら終わりでしょ。
「む? だから良いのではないか」
「……さいですか」
そういえば潰れた方が良いとか言ってたんだった。
その方向でツッコむだけ無駄なんだな。
「なんというか、本当に悪く無さそうなのが怖いんだよな……」
「だからアヤメさんまで堕ちないでってば」
「そういう何かを出してるあんたが悪い」
「ズルくない? って言いたいけど口実に出来る事実が有るのが悔しい……」
「そういう事だ」
くそぅ、何度目だか解らないけどまたしても開き直られてしまった。
例によって変な環境に引きずり込んでるのはこっちなんだから、仕方ないんだけど。




